第9話 遥かなる旅路

文字数 641文字

 メシヤたちは三重県立北伊勢高等学校(みえけんりつきたいせこうとうがっこう)に進学していた。
 イスラエルからの留学生・裁紅谷(さばくたに)姉妹は、すぐメシヤと打ち解け、行動をともにするようになっていた。

「メシヤさま、ハイパーループでの世界留学、わたしたちもおともしてよろしいのでしょうか?」
 裁紅谷姉妹の妹・レマが訊ねる。

「ああ、もちろんだよ! こっちからお願いしたいくらいだよ!」

「メシヤ~、おめでとウ! 前から海外に行きたいって言ってたもんネ!」
 裁紅谷姉妹の姉・エリがメシヤにわいわい言う。

「ありがとう! うん、学校とか店のことが気になるけど、鷹山さんのお願いとあっては断れないからね」
 鷹山とは、第99代内閣総理大臣・鷹山巌一郎(たかやまげんいちろう)のことである。
先の総選挙で未来党が政権与党となり、党首の鷹山が首班指名を受けた。

「まあ、学校のことはあまり考えなくてもいいぞ。世間的にはリモート授業も増えているわけだしな」
 十九川イエスがこう言うのは、この年、プロミネンスウイルス200(ツーオーオー)が蔓延し、世界は大混乱に陥っていたためである。

「それなんだけどさ。大陸間の移動が制限されるのかなと思いきや、むしろ積極的に移動してほしいみたいなんだよね。ハイパーループのテスト走行ではあるんだけどさ」

「プロミネンスが心配ではあるけれど、わたしたちのクラスは誰も感染してないわよね。北伊勢市も依然として感染者ゼロだし」
 マリアが現状を分析する。

「なにはともあれ、みんなと冒険できて楽しみだよ! まずは北伊勢駅から出発して、タタール海峡を踏破するぞ!」







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