カナ

文字数 876文字

学祭の準備で同じグループになったオワリくんに告白したのは学祭の片付けで校舎裏にゴミ出しに二人で行ったときだった。

OKもらったものの、それからひと月も経たない間に、初デートの花火大会当日、やっぱり好きな人がいるからと振られた。


だって誕生日前日だよ?
これから花火大会って時だよ?
そんなシチュエーションでふつう、言う?

そんなに好きだったんだ?

好きに決まってんじゃん!
何でそんなこと言うの!?


親友のサホを呼びだしてカラオケで失恋ソングを歌いながら泣き、テキトーに頼んだものをやけ食いするという、パッと思いつくような失恋後の行動の一連を行った。
公園のブランコでまたグチり、そのうえ、八つ当たりした。


花火の上がる音が遠くの方で聞こえた。


だけど本当は、誰でも良かったのだ。

だって、誕生日が来るし。

ちょうど学祭があって、花火大会があって、高校生だ。
青春真っ只中だ。

恋がしたい。
彼氏がほしい。
そこにちょうどよく現れたのがあの人だった。
正直全然タイプじゃない。
ぼさーっとしてるし。
面白くもない。
でもまあ、背も高いし、優しいからいっかって。


これは悔し涙だ。
チキショー、あんな冴えない男に振られるなんて!
ひと月ももたなかったなんて!
思い出だって思い出そうとしたってこれといってない。

そーなんだ、サホの言う通り。
彼氏になってくれそーな人に告白しただけ。

恋に恋してただけだ。
恋敗れた自分てゆーのに酔いしれてみたかっただけだ。
恋敗れ、友達にグチる。
青春のど真ん中ってこーゆーもんでしょって。

なんてきもちわるい。
青春劇場だ。
駄作じゃないか。



でも誰でも良くなかった。
こーやって、THE・青春をいっしょに過ごす相手はサホしか思いつかなかった。

私はあんたと青春したかったんだな。
いや、青春めいたことか。

サホとだったらきっと何でも良かったんじゃないか。
ごめん、サホ。

もー寝てるかな。
でも今言わないと。

『ありがと、ごめん』

24時50分。
送ったとたんにケータイが鳴る。

ハッピーバースデーのスタンプと
『まだまだ青春これからだ!』
のメッセージ。

明日…いや、今日は何しよーか?

何でもいっか、二人なら。
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