皆様、はじめまして

文字数 1,123文字

皆様。初めまして。僕の名前は橘琥珀といいます。

年齢は1歳です。

まず、皆様にお伝えしなければならないことがあります。

残念ながら僕は人間ではありません。猫です。

ふぁああ。眠い。

ぬくぬくの猫ちぐらから起き上がった。

僕の朝は早い。

お味噌汁の匂いがする。

京ちゃん、起きたんだ。

琥珀、ご飯だよ。

はい。今行きます。


かちゃかちゃ。かちり。トントン。

台所に入ると、京ちゃんがテキパキと働いていた。

僕は中央においてある台に飛び乗り、京ちゃんの働く様子を眺める。

まだかな。まだかな。

あ、今日は大好物のささみだ。

ご飯が入った缶詰を、開ける音が聞こえる。僕は京ちゃんの足元に座ってご飯が出てくるのを待つ。

京ちゃん。早く早く。

僕は京ちゃんの足元に飛び降りると、立ち上がり、京ちゃんの足をポンポンと叩く。

おはよ。琥珀。ご飯だよ
この人が京ちゃん。正しくは橘京子。33歳。独身子持ち。もちろん「子」は僕のこと。
トン。トン。トン。

ドライ、ウエット、お水の三つが僕の前に置かれた。

あ、そうだ。【ドライ】とか【ウエット】とか意味が分からない人、いる?

これは餌の種類の事。

【ドライ】はドライフード。

【ウエット】は猫缶に入っている餌の事。

解説はこれぐらいにして。それでは、頂きます。

ご飯を食べ終わると、僕は台所の中央に置かれた台の上に乗り、京ちゃんの仕事を眺めた。

京ちゃんは手際よくお料理を、箱に詰めていく。京ちゃん。料理得意だものね。

そういえば、琥珀
ん?なに?
男の人が、お弁当を欲しがるのには、何かあるのかなあ?
……京ちゃん、「鈍い」とか「天然」とか言われていませんか?息子として、僕心配です。

京ちゃんは出勤の支度をして、玄関に向かった。

待って。僕も行く。

後ろを歩く僕に気がついたのだろう。京ちゃんは笑った。

学校内で入って良いのは、保健室の隣の物置部屋と……

はーい。学校関係者以外入ってはいけない裏庭だけです。僕は人ではないので、問題ありません。

僕の【返事】に京ちゃんは笑った。

ホント、君、頭が良いねえ。私の言葉理解しているでしょう

もちろんです。


人間がゆっくり歩いて五分。

私立学園島原男子高等学校。

京ちゃんの職場であり、僕の縄張りです。

京ちゃんはこの高校の保健医をしています。


僕は京ちゃんと別れて、裏庭に向かいました。

おう。黒猫
なーに?

黒い毛皮の猫は僕だけですが、目の前にいるお兄さんは黒ずくめのイケメンさんです。

目の前にいる彼の足元に座り、僕は彼の瞳を見上げた。

生徒にバレないようにな

わしゃわしゃと僕の頭をなでてくれたのは、風祭賢治。35歳。この学校の教頭先生で、京ちゃんと友人です。

残念ですが、恋人ではありません。

セコムです。

僕がこれから書くのは、京ちゃんと愉快な仲間たちのお話です。
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登場人物紹介

琥珀 この物語の主役。

頑張りますにゃ。

猫が主役?

なーに?文句あんの?

猫が物語書いて何が悪い(^^)

橘京子 

僕の飼い主ですにゃ。

男子高校の保健医。

にぶい。

とにかくにぶい。

風祭賢治。35歳。

京ちゃんが務める高校の教頭先生で、京ちゃんと友人。

恋人ではない。


三沢知之。年齢は30歳。

京ちゃんが務める高校の国語教師(現代)。

近くにある女子高校ではファンクラブができるほどの素敵なイケメンさんらしいのですが……残念伝説に暇がない。

詳細はそのうち。


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