第3話(6)

エピソード文字数 1,192文字

「もうちょっとで、脅威の10時間睡眠だ。もうじき目を覚まして、『喉が渇いた~』って飲み物を欲しがるよね」

 と、歩きながら言っていて思った。ヤツらは『睡眠弾』やら『47階』と仰っていたから、11時間目に突入するかもしれない。

「そうなれば、ぬるくなる――のはまだいいが、暗くなってしまうなぁ。2人同時には背負って帰れないんで…………その間ここで寝てる方のために、家から布団を取ってこようか……?」

 夏とはいえ、夜になると温度が下がる。あった方が身体にはいいよね。

「しかしながらダッシュをしても、往復20分はかかる。もし出発してすぐ2人が起きたら、『どこいったっ? 帰ってこないぞっ!』とパニくるよなぁ」

 にゅむー。にゅむむー。

「とりあえず飲み物買って、一旦帰還。そこで様子を見て、まだまだお眠りタイムが継続しそうなら動きますか」

 沈思黙考にゅむ風味の末にそう結論を出し、四つ辻を右に曲がる。あと数十メートル進めば、路上のオアシスこと自動販売機ちゃんに会えるでございます。

「そこの自販機はちょくちょく使うけど、ブラックの売り切れ率が高いんだよなぁ。在庫、あるかねぇ?」


中年サラリーマンA「僕は、ブラックにしよう。キミはどうする?」
中年サラリーマンB「オレもブラックで――あちゃー。ブラックは先輩で最後っスね」


 先輩に、ラストをゲットされた。ドキドキすら、させてもらえませんでした。

「あの販売機にあるブラックは、一種類のみ。カフェオレにしますか」

 ガックリ項垂れ、中年サラリーマンBの後方で待機する。
 あと一分……。あと一分早ければ、ブラックを飲めたのにな……。

「じゃあオレは、何にしようか。ブラックじゃないコーヒーは苦手なんだよなぁ」
「それなら、半分こするか? 僕はそれで足りる――ぁ! そうしたら間接キスになっちゃうな……」

 おっさんA、モジモジしだした。
 にゅむむぅ。ここんところ、色んなことがあるよぉ。

「せ、先輩、俺ら男同士ですよ? 気にしなくていいでしょう……」
「ば、バカっっ! 相手が男であろうと女であろうと、そにょ……。き、きしゅをするのは…………恥ずか、しい」

 おっさんA、うぶだ。身体は中年でも、心は清廉潔白な十七歳のようです。

「あ、そ、そうですね。後ろで人が待ってもいますし、俺は別の飲み物にしますよ」
「うっ、後ろに人が居たのか!? すまないねキミっ」
「い、いえ。大して待ってませんので――っ!?

 顔が真っ赤になってた中年Aさんを見ていると、サラリーマン達が消失した。
 この、現象。そして、この独特の冷たい感じは――

「『戦場空間』、か……」
「そうさ。お前の心臓を貰いにきたぞ」

 独り言に、返事あり。すかさずその発生源に振り向いてみると、燕尾服を着たやせ形の男性がいた。
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登場人物紹介

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

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