散ればこそ
文字数 2,890文字
噺家「『世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし』
在原業平さんがこう詠みますと。
『散ればこそ いとど桜はめでたけれ 憂き世になにか久しかるべき』
詠み人の記録がございませんので、身分の低い方が詠まれたのでしょうが、業平さん、ぎゃふんとなったでしょうな。
ものには盛りと言うものがございますのと裏表で、終わりというものも必ず訪れます。
盛りが過ぎて散る段になりますってぇと、それは寂しくもございましょうが、散り際と申しますものも、また日本人の心には美しく映りますようで……」
2018/05/05 07:26
2018/05/05 07:27
「みんな、仕事中すまないが、ちょっと集まってもらえるかな……集まるって言っても四人だとすぐだな……実はこの会社を畳むことになってな……みんなには本当にすまないと思ってる」
2018/05/05 07:36
2018/05/05 08:16
2018/05/05 08:35
「いや……みんな、ありがとう……良いんだよ、君たちがワシを元気付けようとしてくれてるのは良くわかる……そうだな、ワシも元気出さないといけないな、新しい仕事も始まることだしね」
2018/05/05 08:37
2018/05/05 08:47