文字数 727文字

 恋のミラクルポーション。

 結局そのクスリに関係なく、彼は肘の痛みを堪えてホームランを放ち、そして私たちは結ばれた。

 どうせ効きやしない胡散臭いクスリだったけど、卑屈になってウジウジしてただけの私に、やっと行動を起こさせてくれた。その意味では効果があったのかもね。

 うん、感謝しておこう。


 ☆ ☆ ☆



 さて、念願叶って彼とお付き合いを始めた私だったが、やはりどうしても腑に落ちないことがあった。

 学校のスターであり、現人神のような彼が、なぜ私みたいな野良犬を……?

「ねえ、いつから私のことが好きだったの?」

「そうだなあ、あれは一年の夏休み明けだったな。遥香は自由研究の発表で『憑霊型シャーマニズム』について熱弁を奮ってただろ? あの時に『何だか凄い女の子だな……』と思って興味が湧いたのさ」

 ええっ、発表後の教室の空気を凍てつかせた私の黒歴史が……!?

 うーむ、災い転じて福と成すとはこのことか……。まあ何でもいいや、とにかく付き合ってしまえばこっちのもんだ。覚悟なさい、咬みついたまま絶対に離さないんだから!



 ☆ ☆ ☆



 そして、できるだけ彼を間近で監視するために、何としても同じ高校に行かねばならぬと、彼の家で猛勉強を始めた私。(自分の部屋ではすぐ気絶してしまうため)

 あれほど苦手だった数学も、優秀な専属家庭教師のお陰で少しずつ理解できるようになってきた……気がする。

 しかし最近、ちょっと気になることがある。どうも彼の弟の様子が変なのだ。何だか妙に視線が合うし、隙あらば若干過剰気味のスキンシップを図ってくる。その度に彼が追い払ってくれるのだが……。

 まさか……!?


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