第3話
文字数 334文字
おとうは、長いことおかあの顔を見つめていたが、ぽつりと、勝手にせえ、と言った。
さよは、本当なら中学二年になっている年だった。さよは、中学になんか行きたくなかったが、おかあの剣幕に押されて、また、おかあの提げている袋から覗いている赤いスカートが気になって、だまっていた。
「おかあ、この服、どうしたん」
「ああ、さよ。あんたによう似合うやろ、ほれ、着てみな」
さよは赤いスカートを履き、恐る恐る、鏡の前に立った。さよは、どこかの国のお姫様になったと思った。鏡の前でくるりと回ってみせたとき、布団の中のおとうと目が合った。
「今月ようがんばってるからって、大村さんが買うてくれたんや」
さよはスカートを脱ぎ、これ、あんまり好きじゃない、と言っておかあに返した。
さよは、本当なら中学二年になっている年だった。さよは、中学になんか行きたくなかったが、おかあの剣幕に押されて、また、おかあの提げている袋から覗いている赤いスカートが気になって、だまっていた。
「おかあ、この服、どうしたん」
「ああ、さよ。あんたによう似合うやろ、ほれ、着てみな」
さよは赤いスカートを履き、恐る恐る、鏡の前に立った。さよは、どこかの国のお姫様になったと思った。鏡の前でくるりと回ってみせたとき、布団の中のおとうと目が合った。
「今月ようがんばってるからって、大村さんが買うてくれたんや」
さよはスカートを脱ぎ、これ、あんまり好きじゃない、と言っておかあに返した。
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