Ⅱ 画期技術とは

文字数 1,295文字

『人工知能は画期技術である』と書きましたが、
それは一体、どういうことでしょうか?
画期技術とは、経済・社会活動を大きく変え、
さらには制度・政策も変化させて、
文明活動の発展段階を画するような技術、
つまりは『社会を変える』技術です。

以下は、私的な文明論による説明となります。
文明活動の本体は、全ての人々が営む経済・社会活動、
自然から富を得て、それを豊かにするのが科学・技術、
人々で富を分け、それを健全に保つのが制度・政策です。

しかし、技術の利用には物的資源への具現化、
政策の実現には人的資源による実施、
政策が新たな技術を開発・普及する時には、
自然・社会環境が、制約または促進条件となります。




これらの六要素から文明の意義を説明するのが、
私見〝文明の星〟理論(仮説)です。
ご興味がおありの方は、拙作『文明の星』なども
ご覧いただけましたら幸いです。

この理論でみると、技術には4種類があります。
それは、社会を直接大きく変える画期技術、
画期技術の物的資源化による実用化に役立ち、
次世代の画期技術も生み出し得る実現技術、
科学研究・技術開発に役立つ研究・開発技術、
制度・政策の実現を助ける社会工学的技術です。




技術なくして、文明の発展なし。
技術が進めば社会が変わり、政策も変わって、
その政策がまた次の技術を開発する。
その循環(サイクル)の中心となるのが、画期技術です。




実はこの理論では、政策もまた4種類に分けられます。
経済・社会活動に直接働きかけて、
人々の利害を調整する経済・社会政策、
人的資源の確保のための保健・教育という人的資源政策、
制度・政策自体の企画・実施のための行政管理政策、
科学・技術の開発・普及を助ける技術的政策です。




政策なくして、文明の持続なし。
技術が豊かにした社会を健全に保つため、
人々の利害を調整し、新技術の開発を助ける
という政策もまた重要です。

話を戻しますと、画期技術は社会活動から
制度・政策まで、文明活動全体を変えますが、
すでに各種の政策にも、人工知能を中心とした、
次世代技術の影響が表れています。

まず、すでに国の技術的政策でも、
狩猟・農耕・工業・情報社会に続くAI社会という意味で、
Society(ソサエティー)5.0』という言葉が使われています。
文明としての順番でいえば4.0にあたるでしょう。
デジタル改革(トランスフォーメーション)という行政管理/技術的政策も、
官公庁から経済・社会活動全体に広げる形で、
情報化の完成とAI化を目指す政策です。

また、スマートグリッド(技術的政策の中の、インフラ政策)、
マイナンバー(経済・社会政策の中の財政・社会保障政策、
行政管理政策など各種の政策に活用)、
データヘルス(人的資源政策の中の、保健[公衆衛生]政策)、
エドテック活用(同じく人的資源政策の中の、教育政策)や、
スマート/スーパーシティ(インフラ/地方自治政策)等でも
人工知能の普及や利用を想定していると思います。

さらに後述のように、国連のSDGsのような、
人類文明の持続可能性を求める国際総合政策の実現にも、
人工知能などの次世代技術が不可欠になると考えます。

政策論としては基本所得補償(ベーシックインカム)の発想も、
人工知能による省力化が背景にあるといわれます。
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