第4話「マナ」

文字数 1,519文字

 四人はメル・マナの夜を迎え、眠りについた。
 寝るとき、背中のねじが邪魔になるかと心配したが、ねじはどういう構造なのか、体を仰向けにすると引っ込んだ。
 ハルカはすぐに眠りこんだ。
 するとアストラルスーツの力で目覚め、ハルカは、自分のベッドの中にいた。
 疲れたという感覚はなく、むしろ、清々しい、さわやかな目覚めだった。
 学校へ行き、いつものように充実した時間をすごした四人は、夜十時に眠りにつき、メル・マナの家のベッドで目覚めた。
 家から出ると、早速テントウが待っていた。
「お前たち、ねじの調子はどうだ?住民証をもらったから、もう空を飛ぶことも出来るぞ。まあ、少し練習が必要だが。」
「え?このねじで、空を飛べるの?」
 ハルカが聞いた。
「ああ。翼に変化するんだ。でもまあ、今はそのことは置いといて。昨日行った職業所には、これから頻繁に通うことになる。毎日、住人たちから依頼がきて、掲示板に貼り出されるんだ。それと…大事なことを言い忘れてた。」
「なーに?」
 ナツキが首を傾げた。
「マナのことだ。マナってのは、宇宙に満ちてる生命力のことだ。マナは、このメル・マナと現世、つまりアル・マナを行き来し、循環している。マナは、人間やグラナージの行動によって自然に生成される。そして、マナにはプラスのマナとマイナスのマナというのがある。プラスのマナは善のエネルギー、マイナスのマナは悪のエネルギーだ。例えば誰かが良い事をするとプラスのマナが生じ、悪いことを考えたり悪いことをするとマイナスのマナが生じる。この二つのマナのバランスで世界は成り立ってる。勿論プラスのマナが多いに越したことはないが、マイナスがなくても困るんだ。というのは、悪いこと、といっても善悪以外の行動にも当てはまることがある。物を破壊する力だ。これは悪いことだけではない。何かを生み出すきっかけとして必要なことだ。
とにかく、プラスとマイナスのバランスが大切なんだ。だが、最近このバランスが崩れて、マイナスのマナが増えてしまい、魔物たちが凶暴化したり、死んだ人間が現世に生まれ変われなくなったりしているんだ。そこで、俺たち機械虫が現世にレイとして現れて、人々をこちらに呼んで、プラスマナの生成を手伝ってもらってるんだ。」
「でもそんなことして、現世の人間が減ったりしないの?」
「全員はさすがにこっちに呼べないからな。それに、あくまでもメル・マナが宇宙の本質なんだ。それを、アルとメルが現世を創って…って、今言う話じゃなかったな。」
「アルとメルって?」
「それは後々話そう。今はとにかく、マナのことを知って、それを生活に活かすことを学んでほしい。」
 テントウは一息つくと、また話し出した。
「職業(ジョブ)の場面で、マナを消費する行動がある。適度にマナを使って、なるべくゼロにしないようにすること。ゼロになると気絶して倒れる。死にはしない。また、ライフ(HP)というのもあるが、これは魔物に攻撃されたりすると減る。ゼロになると気絶するだけで死んだりはしない。ただ、怪我はするから気をつけろ。怪我をするとHPが大きく減る。治るのにもある程度時間がかかるからな。といっても、怪我はこのメル・マナだけの話で、現世には勿論影響はない。ステータスの確認は、『ステータス』と念じれば、アストラルスーツの力で、頭の中にステータス画面が出てくるから、それで確認出来る。」

※ここまでよく分からないという方のために※
・アル・マナ=現世、メル・マナ=あの世(常世)
・マナとは、宇宙の生命力、エネルギー
・アル・マナとメル・マナはマナで循環している。
・マナにはプラスとマイナスがある。
・職業(ジョブ)ではマナを消費する。
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