彼女
文字数 1,419文字
そこには女性がいた。身長は160cmほどで黒髪の長髪、肌の色はなんというか白くも黒くもない、普通の色であった。たまに違う校舎でみることから下の学年の子だろうという予想がついた。
そしてその女性は今にも屋上から飛び降りようとしている。しかし、私にはその女性は私のような憂鬱な表情をしているわけでもなく、むしろ美しい、明るい表情をしているのである。その姿に見惚れているうちにあと一歩で飛び降りるというところまできている。私は夢中で走っていき女性の手をとった。
私 「どうしたんですか。危ないですよ。」
一応敬語で話した。
女性 「不思議なものね。私よりあなたの方が今にも死にそうな顔してるじゃない。」
私は何も言えなかった。
私 「とにかく、危ないですから離れましょう。」
女性 「あなた、虫を殺したことはある?」
私 「え? あ、はい。ありますよ。蚊とか。」
女性 「私はね、今まで一度も虫を殺したことがないの。」
私 「そうなんですか。」
女性の掴みどころのない感じに困惑する。
女性 「なのにね、今日学校に来るときにね、たまたま足元を見たんだ。すると足で知らない間に蟻を踏みつけてたんだよ。ってことはね、私はこれまでも知らない間に蟻を何匹も殺してきたのかもしれないってことに気付いたんだ。」
私 「その罪悪感であんなことをしようと思ったんですか?」
女性 「別に死のうなんて思ってはいなかったんだ。ただ、私は生というものの重みをわかって生きているつもりだったんだけど、そういう私の心持ちもこの世界じゃ通用しないこともあるっていうか、私たちが思ってるより命を大切にすることって難しいんだなって思ったの。」
女性 「もしかしたら私は命の重みをわかっていないんじゃないかって思って、死に近づいてみたの。
するとね、なんだか飛び降りてしまいたくなったんだ。いろんな不幸や幸せを何も思わなくて済むんだよ。命は大切にしなきゃいけないけど、それって私たちが生まれながらに背負ってる十字架みたいなものなんじゃないかって思ったの。」
女性 「あなたは死んでしまいたくなったことはある?」
私 「あ、、、はい。だけど、まだ生きてます。つまんないことで死ぬ理由にしようとしてますけど、僕の場合は、自分の弱さを肯定できる何かを探しているだけなんです。」
今まで思ってもみなかったことがなぜか口から溢れ出た。
私 「今日は実は本当に死のうと思ってここに来たんです。だけど、あなたを見て、忘れちゃいました。」
女性 「そっか。それは良かったよ。私の方も君のおかげで死なずに済んだしね。」
女性 「ありがとう。そういえば、君の顔、さっきよりましになったね。」
私 「、、、」
女性 「そういえばあなた何年生?私2年!」
私 「3年生です。」
女性「すいませんでした!敬語に直します!!」
私 「いや、いいですよ。僕も敬語に慣れちゃったし。」
女性「そっか。じゃあいいや。
私もう行くね。じゃ!」
まるで嵐のような女性だった。
屋上でまた一人になった。なんだか、頭がまだぼーっとしているけど、とりあえず教室に戻って弁当を食べた。
今日の日記を紹介しよう。
「最近の私は日記をとっている。なぜかと言われたらなんとなくと言う他あるまい。だけど、今日は少し心が不思議な気分になった。幸、不幸のポイントを数えるのは一旦やめることにする。これもなんとなくだ。今日弁当に卵焼きが入っていた。嬉しかった。
明日の弁当が楽しみだ。」
そしてその女性は今にも屋上から飛び降りようとしている。しかし、私にはその女性は私のような憂鬱な表情をしているわけでもなく、むしろ美しい、明るい表情をしているのである。その姿に見惚れているうちにあと一歩で飛び降りるというところまできている。私は夢中で走っていき女性の手をとった。
私 「どうしたんですか。危ないですよ。」
一応敬語で話した。
女性 「不思議なものね。私よりあなたの方が今にも死にそうな顔してるじゃない。」
私は何も言えなかった。
私 「とにかく、危ないですから離れましょう。」
女性 「あなた、虫を殺したことはある?」
私 「え? あ、はい。ありますよ。蚊とか。」
女性 「私はね、今まで一度も虫を殺したことがないの。」
私 「そうなんですか。」
女性の掴みどころのない感じに困惑する。
女性 「なのにね、今日学校に来るときにね、たまたま足元を見たんだ。すると足で知らない間に蟻を踏みつけてたんだよ。ってことはね、私はこれまでも知らない間に蟻を何匹も殺してきたのかもしれないってことに気付いたんだ。」
私 「その罪悪感であんなことをしようと思ったんですか?」
女性 「別に死のうなんて思ってはいなかったんだ。ただ、私は生というものの重みをわかって生きているつもりだったんだけど、そういう私の心持ちもこの世界じゃ通用しないこともあるっていうか、私たちが思ってるより命を大切にすることって難しいんだなって思ったの。」
女性 「もしかしたら私は命の重みをわかっていないんじゃないかって思って、死に近づいてみたの。
するとね、なんだか飛び降りてしまいたくなったんだ。いろんな不幸や幸せを何も思わなくて済むんだよ。命は大切にしなきゃいけないけど、それって私たちが生まれながらに背負ってる十字架みたいなものなんじゃないかって思ったの。」
女性 「あなたは死んでしまいたくなったことはある?」
私 「あ、、、はい。だけど、まだ生きてます。つまんないことで死ぬ理由にしようとしてますけど、僕の場合は、自分の弱さを肯定できる何かを探しているだけなんです。」
今まで思ってもみなかったことがなぜか口から溢れ出た。
私 「今日は実は本当に死のうと思ってここに来たんです。だけど、あなたを見て、忘れちゃいました。」
女性 「そっか。それは良かったよ。私の方も君のおかげで死なずに済んだしね。」
女性 「ありがとう。そういえば、君の顔、さっきよりましになったね。」
私 「、、、」
女性 「そういえばあなた何年生?私2年!」
私 「3年生です。」
女性「すいませんでした!敬語に直します!!」
私 「いや、いいですよ。僕も敬語に慣れちゃったし。」
女性「そっか。じゃあいいや。
私もう行くね。じゃ!」
まるで嵐のような女性だった。
屋上でまた一人になった。なんだか、頭がまだぼーっとしているけど、とりあえず教室に戻って弁当を食べた。
今日の日記を紹介しよう。
「最近の私は日記をとっている。なぜかと言われたらなんとなくと言う他あるまい。だけど、今日は少し心が不思議な気分になった。幸、不幸のポイントを数えるのは一旦やめることにする。これもなんとなくだ。今日弁当に卵焼きが入っていた。嬉しかった。
明日の弁当が楽しみだ。」