お、黄金の鵺だと?
そんな、そんなものは文献にも載っていなかった──そんなものがあるとは……
金色の鵺は詮充郎を見た途端に怒り猛って飛びかかり、その老体を組み敷いた。
星弥はよろめく足をおして駆け寄って詮充郎を庇おうとその体に縋りついた。
永がそう叫ぶと、金色の鵺はピタリと動きを止め、詮充郎の上からどき、ゆっくりとした足取りで永の側に座った。
皓矢、何をしている。とても珍しい鵺が顕現したのだ、あれを何としても我々の手に!
落ち着いている今が好機、術をかけろ!
懲りない
詮充郎の言葉に、
永も
鈴心も
鵺を庇うように立ちはだかる。
しかし皓矢は静かに首を振った。
先程までの黒い
鵺ならそれもできたでしょう
ですが、あれはダメです。勝てる気がしません
黙れ!元はと言えばお前が鵺化出来なかったのが悪い!この出来損ないめが!
詮充郎、星弥を愚弄するなら、今ここで貴方を殺します
詮充郎がわなわなと震えながらも次の言葉が出てこない隙に、皓矢は打ち捨てられた萱獅子刀を拾って鵺に近づいた。
永が鵺を庇おうとしたが一歩遅く、皓矢は萱獅子刀の切先を鵺の額に当て何かを述べた。
鎮虚温子……還
するとその刃がまた鈍く光って、鵺の身体を黒雲が包んだ。
黒雲が徐々に晴れていく。
そこには人間の姿に戻った蕾生がいた。