第1話 変なアプリ

文字数 1,369文字

学校とはどうしてこんなにつまらないのだろう。
先生は偉そうに上から目線で言ってくるし、何か意見を言うと頭ごなしに否定してくる。
「もっとよく考えろ」
「この先それじゃやってけないぞ」
「お前ならできるからもっと頑張れ」
「なんで言うこと聞かないんだ」
「これじゃ社会に出て通用しないぞ」
「周りの空気を読め」
「お前の為に言ってるんだぞ」

本当に俺のために言ってるのか?
自分がコントロールしやすいように言っているだけにしか聞こえない。
俺の何を知っている?俺の考えも思っていることも、まともに聞かないくせに。
機嫌が悪いとすぐ顔に出る先生もいるし。そっちの方が子供だろ。
俺は学校、特に偉そうにしてくる先生が大っ嫌いだ!!!!

その日、確か夏休みだったと思う。
部活から帰ってきて、シャワーを浴び、ご飯を食べて、自分の部屋に戻る。
唯一、誰の目も無い、自分だけの世界。それが俺の部屋だ。

いつものように携帯でYoutubeやネットサーフィンをしていた。
ふと“AIアプリの流行"という記事が目に入った。

「へぇー。色々あるんだなぁ」

その記事には4つのアプリが紹介されていた。
どれも俺にはあまり興味が無かった。
ふと、もう少し調べたくなり、検索に“AI アプリ 面白い”と打ってみると・・・

色んなアプリの紹介サイトが出てきた。
さっきのサイトで紹介されているアプリが多く、あまり面白そうなものは見当たらなかった。

「全然無いじゃん」

サイトを閉じようとした時、広告欄に“AI相談アプリ”という文字を見つけた。

「AIがあなたの相談の答えを偉人の発言から引用します!!!」

「どういうことだ・・・」

意味がわからない。ただなんとなく質問を書いてみることにした。暇だし。少し面白そうだし。

“質問:学校が嫌いです。どうしたらいいですか?”

“回答中・”
“回答中・・”
“回答中・・・”

「理不尽な学校の先生に無理に認めてもらう必要はない。」
「学校の成績より、他者の苦しみを思いやれる想像力のある人間こそ素晴らしい。」
「自分にとって、図書館と古本屋さんさえあればそれで十分だった。」
「学校でしか教育を受けていない子供は、教養のない子供である。」
「学校教育はあなたを生きる人にする。自己教育はあなたを裕福な人にする。」
「私は賢い子供だったが、学校は嫌いだった。」
・・・・・・・

1つ1つは短いけれど、かなりたくさん言葉が羅列されている。

説明を読んでみる。なるほど。
この言葉たちはそれぞれ偉人やアニメなどの言葉をその質問に合った回答としてAIが独自に選んでいるらしい。
回答になっていない気もするが、今回は“学校”というワードでAIが色々探してくれたのだろう。
しかし、こうしてみると、偉人たちも学校が嫌いだったようなイメージを受ける。
学校を否定する言葉の方が多い。

これで、俺の気持ちが晴れたわけでは決してない。
いやむしろ、“なぜ学校に行かなきゃいけないんだ?”という気持ちが募る一方だ。
ただ、偉人でさえ学校の価値を認めていないのがなんか面白い。
学校なんてたかが、1つの箱でしかないんだ。学校で勉強ができるよりも素晴らしいことがある。のかな?
まだまだ自分がどうしたいのか。何がしたいのかは分からないが、少し考えるきっかけになる言葉がいくつかあった。

偉人の一言で、気持ちが変わるって、言葉ってすごいな・・・



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