実験(Bing AIによる改稿版)

文字数 2,820文字

 みなさんもご存じのように、赤○乳業のマスコットは「ガ○ガリ君」という名前の少年です。
今はみんなに愛されていますが、昔はとてもわがままでした。
いつでも自分のことばかり考えて、周りの人のことは考えませんでした。
自分が楽しければそれでよくて、ルールやマナーは守りませんでした。
怒ると人に手を出したり、平気で人のものをひったくったり、大きな声で人の悪口を言ったりしました。
そんな風にひどいことばかりするものだから、みんなは少年のことを「我利我利(がりがり)君」と呼んでいました。
どんなに注意しても、どんなにおしおきしても、我利我利君は自分のふるまいを直そうとしませんでした。
学校の友だちや近所の人はとても困ってしまいました。
どうにかならないか、と思ってお寺の和尚(おしょう)さんに相談しました。
和尚(おしょう)さんは「何とかしてあげよう」と言って、この問題を引き受けました。

 ある日、我利我利君は公園で小さい子が食べていたアイスを取りあげました。
小さい子は泣いて逃げていきました。
「ふふん。ざまあみろ」
我利我利君は悪い笑顔をして、アイスを食べ始めました。
ガリガリガリガリガリ……
シュワシュワするそのアイスはとてもおいしかったです。
「うまー!」
我利我利君はアイスが大好きでした。
「このアイスの棒には 『あたり』『はずれ』が書いてあるんだよな。『あたり』 が出たらもう一本もらえるんだ!」
我利我利君は棒の先を急いでかじりとりました。
「『あたり』出ろよ!」
そう念じて、我利我利君は口から棒を出し、先を見ました。
棒の先には『地獄行(じごくい)き』と書いてありました。
我利我利君はびっくりしました。
「えっ! なにこれ!?」

 そのとき、公園が変わってしまいました。
地面にはとげとげがいっぱいで、空は真っ暗でした。
遠くからおそろしいうめき声が聞こえてきました。
池も真っ赤な血の池になっていました。
まるでお話の中の地獄みたいでした。
「ここはどこ? オレは一体どうなったんだ?」
我利我利君はわけがわからなくて、困りました。
遠くから人がたくさん歩いて来るのが見えました。
(おに)罪人(ざいにん)がならんで歩いてきているのでした。
我利我利亡者(がりがりもうじゃ)は地獄行き」
「我利我利亡者は地獄行き」
鬼と罪人は低い声で同じ言葉をくり返しとなえていました。
我利我利君はこわくて逃げようとしました。
でも、足が動きませんでした。
我利我利君は足元を見ました。
我利我利君が立っているのは死んだ人の上で、死んだ人の手が我利我利君の足をつかんでいました。
「きゃああああああああ!!!!!!」
「我利我利亡者は地獄行き」
「我利我利亡者は地獄行き」
鬼と罪人は我利我利君のところに来ました。
鬼は我利我利君の手と足に鉄の輪をつけて、一緒に歩かせました。
我利我利君は意識を失いそうになりました。

 それから、我利我利君は罪人と一緒にいろんな地獄を見せられました。
とても暑い地獄。
とても寒い地獄。
とてもうるさい地獄。
とてもいたい地獄。
地獄に着くたびに、罪人たちは鉄の輪を外されて鬼にいじめられました。
痛くて苦しくて、罪人たちは大きな声で泣きました。
我利我利君だけは鉄の輪をつけたままで、鬼にいじめられることはありませんでした。
でも、罪人たちが鬼にいじめられて泣いているのを見ていると、気分が悪くなりました。
自分もいじめられているみたいでした。
地獄は(いや)だ、家に帰りたい、と思いました。

 そして、4つの地獄を見せられたあと、とても大きなまるいテーブルのところに来ました。
そのテーブルには、我利我利君と罪人の数だけイスがありました。
地獄でもご飯があるようで、テーブルの真ん中に何か並んでいました。
それはよく見ると、我利我利君の大好きなソーダ味のアイスでした。
鉄の輪をはずされた我利我利君は、あわててイスに座ってアイスの棒を持ちました。
でも、そのアイスの棒はとても長くて、1メートルぐらいありました。
手から遠くはなれた棒の先にアイスがついていて、棒を持っても、我利我利君は先にあるアイスを食べられませんでした。
どうしてもアイスが食べたくて、棒を握る手を先へ先へとうつしてみましたが、そうするたびに棒が長くなってしまって、アイスは遠いままでした。
ほかの罪人たちも同じで、だれもアイスを食べられませんでした。
しばらくするとアイスが()けはじめました。
「アイスが! なくなる!!」
我利我利君はあせって、泣きそうになりました。

 急に、空からぴかぴかの光が()ってきました。
そして、お釈迦様(しゃかさま)の声が聞こえました。
「我利我利君。あなたはいつも自分のことばかり考えているから、アイスが食べられないのです。でも、あなたが周りの人のことを大切にするようになったら、大好きなアイスが食べられるようになります。それを考えてみてください」
「周りの人のことを大切にする……」
我利我利君はテーブルに座っている罪人たちを見回しました。
「そうだ!!」
我利我利君は自分の持っている棒の先を、1メートルぐらいはなれて右に座っている罪人にさし出しました。
その罪人は我利我利君のさし出した棒の先のアイスを食べました。
その罪人はとてもうれしそうでした。
そして、その罪人は「ありがとう」と言って、自分の持っている棒の先を我利我利君の前にさし出しました。
我利我利君は、その先のアイスを食べました。
アイスはとてもおいしかったです。
我利我利君の(むね)がなんだかぽかぽかとあたたかくなりました。
すると、ほかの人たちも我利我利君たちのまねをしてアイスをわけあいました。
そして、みんながアイスを食べました。
みんながしあわせそうでした。

 ふたたび、空からお釈迦様の声が聞こえました。
「そうです。周りの人のことを大切にするとはそういうことなのです。これからは心を変えて、いつも周りの人のことを大切にして暮らしてください」
「はい!」
我利我利君は正しいことに気づきました。
そのとき、空からきらきらの光がいっぱい降ってきて、まわりが真っ白になりました。

 気が付くと我利我利君は公園に立っていました。
「あれ?」
手に持っていたアイスの棒には『はずれ』とだけ書いてありました。
我利我利君は首をかしげました。
「さっきあったことは一体何だったんだろう」
夢みたいだったけれど、本当のことみたいでした。
考えても分からなかったので、やめました。
でも、我利我利君はもう昔のように自分勝手な少年ではありませんでした。
それから我利我利君は心を入れ変えて生活し始めました。
今まで迷惑かけた人々にも(あやま)りました。
(かく)れて見ていた和尚さんは満足そうにほほ笑みました。
実は我利我利君が体験した地獄めぐりは、和尚さんの力で作った夢でした。

 その後、我利我利君は「おいしいアイスを少しでも多くの人に食べてもらおう」と思って、赤○乳業で働き始めました。
そして「我利我利君」ではなく、「ガ○ガリ君」と呼ばれるようになり、大人からも子どもからもみんなから好かれる有名なキャラクターになったのでした。

おしまい
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