原文

文字数 3,136文字

(おまけ)
対話型AI「Bing AI」に指示して書き直しをさせる前の原文(一部修正)をつけておきます。

2007-08-05 10:09:24
「和尚と我利我利君」

 現在、赤○乳業のマスコットとして大活躍中の「ガ○ガリ君」と呼ばれる少年は、かつては自分の事しか考えないひどく身勝手な少年だった。
学校や公園の遊具は一人占(ひとりじ)めする、
交通ルールや学校の規則(きそく)は平気で(やぶ)る、
イライラすると周りの人間に暴力を()るう、
人の物が欲しければ(おど)してうばい取る、
人を(きず)つけるようなことを平気で言う、
というようにいつでも他人の迷惑を考えずに勝手気ままに過ごしていた。
あまりにも身勝手で自分のことしか考えないために、少年は周りから「我利我利(がりがり)君」と呼ばれていた。
何を言って聞かせても、どんな罰を与えても、我利我利君の性格は直らず、学校の友達や近所の人間は我利我利君の()()いに大層(たいそう)困り()てていた。
人々はどうしようもなくなって寺の和尚(おしょう)様に相談した。
和尚様は「何とかしてみよう」と答えて、この問題を引き受けた。

 ある日、いつものように我利我利君は公園で小さな子どもを拳骨(げんこつ)でおどして、その子がなめていた棒アイスをうばい取った。
我利我利君の(するど)くにらみつける眼光(がんこう)と拳骨におびえた小さな子どもは泣きながら走り去っていった。
「ははっ。いい気味いい気味」
我利我利君は邪悪(じゃあく)な笑みをこぼして、棒アイスをほおばり始めた。
ガリガリガリガリガリ……
ソーダ味のその棒アイスはとっても美味(おい)しかった。
「うめぇー!」
アイスバーが大好物の我利我利君はとっても満足だった。
「こういう棒付きのアイスって棒に『あたり』『はずれ』が書いてあるんだよな。『あたり』が出たらもう一本だ!」
我利我利君は棒の先っぽを急いでかじり取った。
「『あたり』出ろ!」
そう念じながら、我利我利君は口から出した棒の先っぽを見た。
棒の先には『地獄行(じごくい)き』と書かれていた。
我利我利君は(おどろ)いた。
「なんだこれ!」

 とたんに我利我利君の周りの風景が一変(いっぺん)した。
そこは公園だったはずなのに、周りはいつの間にか地面から針がびっしりと突き出た丘に変わっていた。
真昼なのに空は真っ暗になって、辺りから低く不気味な声が聞こえてくる。
池があった場所は真っ赤な血の池に変わっていた。
まさに物語に出てくる地獄そのものだった。
「ここはどこだ? 一体オレはどうしたんだ!?」
我利我利君は状況が飲み込めず、混乱した。

 ふと遠くの方からこちらに近づいてくるたくさんの人影(ひとかげ)が見えた。
よく見ると鬼と罪人(ざいにん)一行(いっこう)が列を組んで遠くから歩いてきているのだった。
一行はブツブツと低い声でつぶやいている。
我利我利亡者(がりがりもうじゃ)は地獄行き」
「我利我利亡者は地獄行き」
我利我利君は怖くなって逃げ出そうとした。
だが、足が動かない。
我利我利君は足元を見た。
実は我利我利君が立っていたのは死体の山の上で、その死体の(うで)が我利我利君の足をつかんではなさないのだ。
「ぎゃああああああああ!!!!!!」
我利我利君は恐怖の余り失神(しっしん)しかけた。
「我利我利亡者は地獄行き」
「我利我利亡者は地獄行き」
鬼と罪人の列は我利我利君の所までやってきた。
鬼が我利我利君に手枷(てかせ)(あしかせ)枷をはめて、罪人たちの列に加えた。
我利我利君は意識を失いそうになりながら、その一行に混じって歩かされた。

 それから我利我利君は罪人と共にいくつかの地獄を回らされた。
焦熱地獄(しょうねつじごく)
極寒地獄(ごっかんじごく)
阿鼻地獄(あびじごく)
叫喚地獄(きょうかんじごく)
一行が地獄に到着する度に、罪人達は手枷と足枷をはずされて、様々な方法で苦しめられた。
苦痛が身を(おそ)うたびに、罪人たちは不気味な悲鳴をあげた。
その中で我利我利君だけは手枷と足枷をはめられたままで、実際に地獄の()()を味わわされる事はなかった。
けれど、罪人達が鬼によって苦しめられ苦痛に(もだ)えて叫んでいる(さま)を見せつけられると、気分が悪くなってたまらなかった。
まるで自分が実際に苦しみを味わっているかのように感じた。
地獄なんて嫌だ、早く家に帰りたい、と思った。

 そして、4つの地獄を回り終えて一行は大きな円卓(えんたく)のある場所にやってきた。
その円卓には、罪人の数だけ席が設けてあった。
地獄にも食事時があるようで、円卓のはしから(はな)れた中央に何か並べられていた。
それはよく見ると、我利我利君の大好物のソーダアイスだった。
手枷と足枷を外された我利我利君は、大急ぎで席に座ってアイスの棒を手に取った。
だが、そのアイスの棒は異常に長く、三尺三寸(さんしゃくさんずん)(6m)はあろうかという代物だった。
手元から遠く離れた棒の先っぽにアイスがくっついており、棒を手にとっても我利我利君は先っぽにあるアイスをほおばる事が出来なかった。
我利我利君はどうしてもアイスを食べたくて、棒を握る手の位置を先へ先へと変えてみたけれど、そうするたびになぜか棒は長くなっていく一方で、いつまでたってもアイスを口元に運べなかった。
ほかの罪人たちも同様で、誰もアイスを食べる事が出来なかった。
そうこうしているうちにアイスは次第に()けていった。
「アイスが! 溶ける!!」
我利我利君は(あせ)り、涙目(なみだめ)になった。

 突如(とつじょ)、空から一条(いちじょう)の光が()(そそ)いだ。
そして、お釈迦様(しゃかさま)の声が聞こえてきた。
「我利我利君。あなたはいつも自分のことだけを考えているから、いつまで経ってもアイスを食べる事が出来ないのです。けれど、あなたが周りの人の事を思いやるようになれば、大好物のアイスを口にすることができるはずです。それを考えてみるのです」
「周りの人の事を思いやる……」
我利我利君は円卓に座っている周りの罪人を見まわした。
「は、そうか!!」
我利我利君は自分の持っている棒の先っぽを右隣に座っている罪人の口元にさし出した。
罪人は我利我利君の差し出した棒の先っぽのソーダアイスをほおばった。
罪人は満足げな表情を見せた。
そしてその罪人は「どうもありがとう」とでも言わんばかりに、今度は自分の持っている棒の先っぽを我利我利君の口元にさし出した。
我利我利君は、その先っぽのアイスをほおばった。
ソーダ味のアイスはとても美味しかった。
それ以上に我利我利君の心に不思議な満足感が広がった。
すると、今度は周りの罪人たちも我利我利君達のまねをして互いにアイスをさし出し合った。
そして、目の前にさし出されたアイスをほおばり出した。
そうしてみんなが満足げな表情を見せた。

 再び、空からお釈迦様の声が聞こえた。
「そうです。周りの人の事を思いやるとはそういう事なのです。以後、心を改めていつでも他人のことを思いやって生活するようにしなさい」
「はい!」
我利我利君は正しい教えに目覚めたのだった。
次の瞬間、空からあふれんばかりの光が降り注ぎ、周りの物が何も見えなくなった。

 気がつくと、我利我利君は公園に立っていた。
「あれ?」
手に持っていたアイスの棒には『はずれ』とだけ書かれている。
我利我利君は首をひねった。
「今のは一体何だったんだろう。」
夢にしてはあまりにもリアルだった。
考えても分からないので、深く考えないことにした。
けれど、我利我利君はすでに以前のように自分の事しか考えない我利我利の少年ではなくなっていた。

 それから、我利我利君は心を完全に改め、生活態度を一変(いっぺん)させた。
今まで迷惑をかけた人々にも(あやま)って回った。
物陰(ものかげ)からその姿を見ていた和尚様は満足げに微笑(ほほえ)んだ。
実は我利我利君が体験した地獄(めぐ)りは和尚様の法力(ほうりき)によるものだった。

 その後の我利我利君は美味しいアイスを少しでも多くの人に食べてもらうために、赤○乳業のマスコットキャラクターに自ら志願して精力的に活動をはじめた。
そして、いつしか人々から「我利我利君」ではなく「ガ○ガリ君」と呼ばれるようになり、老若男女(ろうにゃくなんにょ)問わずにみんなから愛されるキャラクターになったのでした。

おわり
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