序文

文字数 751文字

「ん、何だ?」



バッグが震える。



別に生き物を中に入れた覚えはないから多分メールだろう。





パチッ





「何だ真人か…………。『了解。明日行くな。』っと。」



カチカチとボタンが小さな音を立て、液晶に文字を刻んでいく。



「送信……完了。」



真人の実家に明日行くことが決まった。



「これでよし。」





パタン





携帯を折ってバッグに仕舞う。



「ったく、悪かったな。で。」



真人のメールの一文を思い出して呟く。





『早くスマホに替えろ。』





五月蝿ぇやい。



未だ使えるんだ。



こうなったら、壊れるかサービス終了まで使ってやる。









明日野斗矢あすのとうやは携帯を持っている。



しかし、察しの良い読者は気付いただろうか(そもそも読者が居るのだろうか?)?





効果音が妙な事に。



メール連絡だということに。



入力がボタンだということに。 携帯を折ったことに。



『早くスマホに替えろ。』という真人の一文に。



「サービス終了」の地の文のセリフに。





「ガラケー上等だ!この野郎。」



令和元年。まさに今!



明日野斗矢(19)という男はガラケーユーザーであった。































彼がもし、スマホユーザーだったなら、この物語はここでお仕舞いだった。





しかーし!!この令和にガラケーだった明日野は、ガラケー故にこれから思いもよらない冒険をすることになる等と、







ブーンブーンブーンブーン







「また真人か?」





パチッ









思いもしなかった。

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