第1話

文字数 433文字

幼稚園に通っていた時、私は母親と一緒に寝ていた。



けれど寝る時は私一人。二段ベッドの上には姉が寝ていた。



私は朝起きるのが早い子供だった。



朝、起きては隣に寝ている母にイタズラをよくしていた。



よくしていたのが、蹴ること。



それで叱られたりもした。



けれど子供だったので、その反応もおもしろかった。



なので蹴り続けたある日、蹴っても怒られないことがあった。



それは続けてはないものの、かなりの回数叱られずにすんだ。



だけどある時、気付いてしまった。



蹴っている足がある。



けれど―上半身が無いことに。



布団の上から手で叩いてみても、上半身の感触は無い。首も胴体も無い。



けれど蹴っている足は、二本、ある。



子供だった私はそのことに何の不思議も抱かず、互いに蹴り合いをして遊んでいた。



蹴っている足は時に攻撃的に私を蹴った。楽しかった。



その感触は普通の足だったのに…。
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