第1話

文字数 805文字

「ね、わたしたち、このままだらだらと続けていていいのかな?」
「うん、そろそろきりをつけるころかな」
「わたしたちも結婚のことを考えようか」
「そうね~、誰か一目で気に入るような人が現れないかしら」
「う~ん、結婚となるとやはり慎重にさがしたいな」
「あら、堅実なのね。どう、意外とあたしたちの周りにいい人がいるんじゃない?」
「そうね。マサなんかどう」
「でもさ、マサと居ても飽きない? 何十年も一緒に暮らすのよ。我慢できる? あたしはダメだな」
「そうかな~~」
「ヒロはどう? 遊んでいても楽しいし、おしゃべりも飽きないわ」
「あなたダメよ。ヒロは真面目に仕事をするタイプじゃないわ。それに結婚って遊びと違うのよ」
「あら? あたしたちはそれが良くて今まで一緒にいたのでしょう。楽しくなければ一緒に暮らす意味が無いでしょう」
「ええ。でもね、やはり結婚となれば、真面目に仕事をして給料を持ってくる人が一番じゃない」
「また~。あなたはいつも、稼ぐ役、家事の役、育児の役って古い分担を出してくるけど今は時代が変わっているのよ」
「でも、一生の問題だからね。真剣に考えるわよ」
「そうだわ、それじゃ結婚案内所へ行ってみようよ。いろいろな人が登録しているので、希望が適うかもよ」

*

「ハイ、いらっしゃい。Φ♀二人一緒ですね」
「ええ」「そうよ」
「それじゃ♂一人リストをお持ちします。二人で来る方は探すのが楽なんですよ。最近は一人だけの人が多くて、まとめるのが大変なんです」
「わたしたちだってうるさいわよ」「それと、会っても嫌なら断ってもいいのでしょう」
「もちろんですとも。~~しかし、この商売をしていてなんですが、♂Φ♀と三つが結ばれないと結婚、繁殖が出来ないなんて不便ですな。いつも思うんですがね、この広い宇宙には性が二つだけの星もあるんじゃないですかね~」
     【了】

今のようにLGBTが市民権を得ていないころに描いた作品です。
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