第32話  白竹 美優視点 美優と魔優

エピソード文字数 4,189文字


 ※



う~ん。もうちょっと萌える言葉はないのかな? あんまり説明っぽくなると、逆に萎えちゃうといいますし。バランスが難しいんですねぇ

 パソコンに映る画像は私が書いたイラスト。

 絵は完成したけども、台詞に悩むこと三十分ほど。中々決まりませぬ。


 絵は綺麗と評価はされていますが、ストーリーとR18シーンはまるっきりダメ出しさんです。某掲示板でもフルボッコされてて「絵は綺麗だけど、エロは残念な人」と酷評されております白竹美優です。



 謎の同人絵師。そしてユーチューブに「歌ってみた」カテゴリの常連さんだったりします。結構有名人なのですよ。ハンドルネームは【みゅうみゅう】と名乗っております。



 しかしその実態は……ただの女子高生でした。ふひっ!

 誰も知らない私。知っているのは当然家族だけです。




「まだ起きてたの?」  




 部屋に入って来たのはピンクのレース姿の魔樹。


 いえ……今は魔優(まゆう)と言った方が正解ですね。


 目の前に見える魔優は、まるで鏡に映る自分と同じ。

 ピンクの長い髪はもちろん、身体の到る所まで……全て私と同じなのです。


 そう。私達は……男の子でもあり女の子でもある、入れ替わり体質という特殊な身体だったりします。

 


 ちなみに同じ性別になった私達を見分ける方法はありません。

 見ただけで分かるのは、当事者である私達とママだけなのですよ。

まったく。よくやるわね。

そんなに股を広げて絶叫してるシーンをずっと見れるって……未だに理解できないわっ

だってぇ明日はせっかく休みだもん。美優でいられる内にやらないとインスピレーションが沸かないのね。


美樹(みき)だとぴぴっと電気が走らないのです。だから頭が痛くても頑張る

 入れ替わりのサインが来てるけども、後一時間くらい大丈夫です。このくらいの頭痛いは、気合いで頑張るのでし。


 魔優は「はいはい」と適当に言うと、勝手に私のベッドに寝転がっちゃいました。

 どうせ魔優にはこの作業の楽しさが理解できないのですよ。




 何でエッチな事に興味が無いのか謎です。

 私もママも、めちゃオープンなのに……


 

 きっとママの遺伝子のエロスが全部私に入っちゃったと思ってます。なのでぇ、魔優はとっても優等生ちゃんなのです。



ねぇ美優。今日の……染谷くんだっけ? 面白かったね

あっ。うんうん!


私も厨房から見てて、めちゃ萌えた

どうだった美優? 彼の行動は如何に?

あれは……誰が見ても楓蓮さんラブですよ。


一生懸命隠してるみたいでしたけどね。バレバレなのです

だよね?

うんうん。お目目がね。楓蓮さんを見るお目目がハートに見えたんですもの



じゃあ美優。染谷くんが言ってた一目惚れって……楓蓮さんの事だったのね?

そうだと思われまする。だって楓蓮さんってめちゃ綺麗なんだもん!


あ、でも魔優。この事は誰にも言っちゃダメだよ

分かってるわよ。態々言う事でもないし、知らないフリ。波風立たせないのが一番だね
うんうんうん。私達は見てるだけでいいじゃないですか
でも、人を好きになるって、やっぱ素敵ね。

そうだね。私達には……そーいうの出来ないから。


やっぱり憧れてしまうよね

うん……
でも。私は……美優がいればいい
うん。私もだよ。魔優

私達は双子。

ママやじいじに、同じように育てられた。



何をするのも一緒。好きなものも一緒(エロ同人は別でし)

同じように歌い、同じように喜び、悲しむ。そんな存在。



今までもずっと一緒。

これからもずっと一緒。それはきっと運命なの。





ずっと……そう思ってた。






たっだいま~~~

 そんな声が玄関から聞こえてきます。ママが帰ってきましたね。

 時計を見ると午前一時。とっても遅い帰宅でございます。



 ママは昔から家に居ない事が多いのです。



 どんな仕事をしているのかは今でも知りませんが、ママがこんな時間まで友人と出掛けたのは記憶にありません。とても珍しいことなのでした。



あっ。二人とも起きてるわね~

 ママは魔優と同じように私のベッドに寝転がっちゃいます。

 そしてワンピースを脱ぎ、パンストを脱いで下着姿になっちゃいました。



 うわっ、お母さん。お酒臭い


ごめ~ん。めっちゃ飲んじゃったの。かたじけな~~~いっ!

 ええっ? こんな時間まで? 

 他所の人とアルコール飲んでも平気だったのでしか? 


 確か入れ替わり体質の人がお酒を飲むと、サイクルがぐちゃぐちゃになったりして危険だって言われてたのに。

大丈夫よ。だって。今日会ってきた人は……
私達と同じ。入れ替わり体質の人だから。で~す!
え?

お母さん。詳しく教えてよ。


私達と……同じ?

古くからの友人なの。やっと連絡があってね。

もう久しく逢って無かったから、時間を忘れて語り合っちゃったのでした~~!

ねぇ母さん。そ、その人は……どんな感じなの?


美優はとんでもなく聞きたいですっ!

私も知りたい。私達以外の入れ替わる人なんて……今まで見た事ないもん!

 ママに質問したとおりです。私達家族以外にも入れ替わり体質がいると言うのは聞いてましたが、見た事はありませんでした。


 どんな人だろう。当然興味津々な私と魔優はママに詰め寄り、座りなおします。

昔と変わらずとっても男前だったわ。でへへ……楽しかったわよっ!

 男前? じゃあ入れ替わり体質の……男性?

 

 ママ? ママの顔がもっと赤くなって蕩けちゃってます。

 頬に両手を添えてイヤンイヤンとクネクネするママは滅茶苦茶上機嫌です。

私も見たいですっ! ねぇ。ダンディなの? ナイスミドル中年さん? オヒゲは生えてるの?


ああっ! めちゃ会ってみたいですっ

美優。いつの間に中年男性に目覚めたの?
男前で中年さんとか、凄い萌えるじゃないですか!

まぁ美優ったら、どんどんストライクゾーンが大きくなるわね。


ママはとても心配だわっ。

同人絵師になってから、ちょっとおかしくなったからね。激しくエロいし
うんうん。エロいは褒め言葉です

 別にいいじゃないですか。好きなものは好き。



 じゃなくって! 私の事はど~でもいいんです。

今度紹介してくださぁい! 他の人。どんななのか、見てみたい
私も気になる。母さん……
だけど、ママは……

あはっ。しょれはダメダメよ。


まだ教える訳には行かないわっ ごめんね。その人との約束なの

何でですか~~~! 何で紹介してくれないの?

そうよ。なぜそこまで言っておいて……秘密にする理由があるの?


なぜ家族同士なのに秘密にしなければならないの? 意味が分からない

ママ。同じ入れ替わり体質の人となら、もっと仲良くやれるって言ってたよね?


それなのに……私たちが納得できる説明をしてください

 魔優と二人でママを集中攻撃です。

 私達家族以外の、入れ替わり体質の人。見てみたい。


 ただそれだけ。そこから何をしようとか考えてなくて、純粋な好奇心しかありません。見ればきっと納得するのに。



 するとママは真剣っぽい表情を見せました。

 ひっくひっくしてますが、真面目さんな顔からはいつものキラキラお目目じゃなくなってました。

時期が来れば紹介するわ。その頃にはきっと私は……

 きっと私は?


 急にデレだしたママはさっきのように顔が蕩けちゃって目がキラキラしてます。


 こうなっちゃうと、あまり期待できなさそうな返事が返って来るのはもう定番でした。 

その人と、結婚してるかも。ええ。きっとそうだわっ!

 ほら。訳わかんない。


 どこからどうなって結婚とか、周りの人には理解できませぬ。だけど自分自身はうんうんと頷いて立ち上がると、私の部屋の真ん中でバレリーナの様にクルクル回り始めました。



 かん高い声を張り上げて回るママ。



 さっきまでの入れ替わり体質云々のシリアスモードが弾け飛ぶと、魔優と一緒にうな垂れます。


 だけどこれを見てると、どうでもよくなっちゃうママの魔法のようなものでし。

 

もう寝る。美優も程ほどにしなさいよ

 呆れ返った魔優は、まだクルクル回ってるママを無視して部屋を出ちゃいました。


 ああん。ママを置いていかないでよぉ!

 こうなっちゃうと中々部屋から出て行ってくれないのに。

美優っ!
あひっ!

 急にクルクルをやめたママはこちらにビシっと指差します。

 そしてキラキラお目目のまま私の顔を覗き込むと、こんな事を言うのです。

あなたにも、運命の出会いが近づいているわっ!


そう! 白馬の王子があなたを迎えに来る。その時はもうすぐなのよっ!

うはっ。本当でしゅ?
うんうん。本当なのよ

 あっ、白馬の王子様が私を迎えに……

 現実にはありえないけど、私はこの手の話が大好きだったりします。この話を魔優にすると、無視されますけど。

はぁう~~楽しみですっ!
こうなったママは一緒にお付き合いするのが正しい接し方です。美優はとっても心優しき女の子です。 
ママ。その白馬の王子さんって、いつ頃迎えに来るのです?
するとキラキラしたお目目が更に輝いて光り始めました。そして私の耳元でこんな事を言うのです。 
美優。実はもうあなたは……その人の事を知っているわっ

あひ?

そう返されるとは思いませんでした。

私の知ってる人?
ええそうよ。白馬の王子って実は、身近な所にいるのよ~~~!
ああっ。クルクル回り始めました。
二人はまだ運命だとは気付いていないのよぉ~~!

 もう何を言っても無駄なので、私もママに「おやすみ~」と声をかけてから自分の部屋から出ると、魔優の部屋のソファーで横になりました。




 だけど。ママは誰の事を王子様って言ってるのかな?

 


 まぁいっか。多分嘘だし。嘘っぽいですし。

 私なんかに……私を好きって言ってくれる人なんて……いるはずがない。

 

 










 私は魔優の部屋にお邪魔するとリラックスして入れ替わりを行います。

 女の子から……男の子へ。




 銀髪の男の子になった私は、ふとドレッサーで自分の顔を見つめていました。



こんな姿になってしまう私を、女性として見てくれる人なんて……いないよ
 思わず口に出すと、自分で言っておきながら気が滅入ってしまい、沈んだ気分になってしまう。



こんな身体。大嫌い……
美樹(みき)そんな風に言わないで。私はずっと……あなたを理解してるんだから

魔優が背中から抱きしめてくれる。


いつも魔優は私を励ましてくれる。



美樹。今日は一緒に寝よう。

私は頷くと、魔優のベッドで横になりました。


いつも優しい魔優に甘えてしまう私。

あっという間に眠りにつくのでした。

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登場人物紹介

キャラのプロフィールは、章の始まりにも記載しています。


ここに記載されているのは主要人物です。

その他の登場人物は章の始まりなどに記載しています。


読者視点は神視点。

物語の中の人達が知らないことを全部見る事ができます


また、二章からはキャラの心の声まで聞こえます(フキダシが灰色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年


 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 とても弟思いの良いお兄さん(お姉さん)

 ★ 白峰楓蓮 しらみねかれん


  蓮の女性の姿。白峰というのは偽名。

  黒澤家とは繋がりを見せないように演じる。


  心の中は男の子なので、女の子のファッションやらに興味が無い。

  とても美人なのにあまり自覚がなく、女性の姿はオマケだと思っている。

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生


 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。



 ★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは家族だけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。


 ★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。


 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。

 など、全てを兼ね備えている人。


 二人目の主人公。

 ★ 白竹 美優 しらたけ みゆう


 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。

 自分の家の喫茶店で働いており、メイド服で接客をこなす。


 学校と喫茶店では、雰囲気がまるで違うのには理由があり……

 

 三人目の主人公。 

 

 ★ 白竹魔樹 しらたけまき


 蓮の隣のクラス。美優は双子の姉弟。


 学校ではとてもクール。喫茶店では男の娘?

 双方を知る蓮にとっては、非常に疑問な人物。


 四人目の主人公

 ★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的。学校ではいつも笑顔で誰にでも優しいが……

 

 五人目の主人公

 ★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲



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