エピローグ 咲乃
文字数 235文字
十か月後。
咲乃は産婦人科の病院で、一人の赤子を産んだ。
男児だった。
その赤子を抱きながら、テレビを見つめる。
ようやく、あの事件のニュースが少なくなってきた。次の選挙で政権が交代するかもしれない、というニュースは今でも多いが、それでも日本国そのものが消えてしまうようなことはなかったし、その政治体制が大きく変化することもなさそうだ。
咲乃は、手の中の赤子を見つめる。
母親の視線に、その赤子の顔ににっこりと笑みが浮かんだ。
咲乃の顔にも、自然に笑みが浮かんでいた。
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