第2話スコール

文字数 503文字

 チィチィの体の長さは十センチあまり、細くて長いしっぽがあります。
 木の枝に吸い付くように指に丸いパットのようなものがあり、鋭い爪も生えています。高く長くジャンプできるように後脚が長くなっています。

 いつものように木の枝から枝へ飛び移るのと違って、小さな体のチィチィに地面のデコボコは歩きにくいのです。

 チィチィは地面のところどころに生えている草むらに隠れるようにしながら、森の方へ移動して行きました。

 少しすると、突然激しい雨が降ってきました。スコールです。

 地面の上では雨をしのげる葉かげもありません。チィチィは草の間に身を寄せました。強風に飛ばされないよう細い茎につかまって、体に打ち付けてくる雨に耐えました。

 もこもこの毛皮は雨をはじいて、チィチィの体をまもってくれます。

「ちょうどいい、シャワーだ」

 スコールは毎日のように降ってくるので、チィチィはなれたもの。
 茎に体をこすりつけて、毛皮の汚れをおとしました。手で頭や顔もこすってきれいにします。

 スコールは数分激しくあばれると、すぐに何もなかったように静かになりました。
 チィチィは、晴れてさわやかになった空気の中を、また元気に歩き出しました。
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