第2話

文字数 351文字

最初の罪状は、母親に対する死ぬ死ぬ詐欺。
死刑。
僕は身体が弱かった。
偏頭痛に耳鳴り、酸素が足りない感覚。
目を閉じ赤い暗闇の中、死へのイメージを膨らませる毎日。
金に追われ、忙しい彼女の気を、僕は引きたかったのだろうか。
僕はそれらの症状を、母親に訴えた。
答えはいつも同じ。
判を捺した様に。
「精密検査受けなきゃね。」
それは、金がないから受けられない、つまり、何も出来ない事を意味していた。
しかし、今思えば彼女にそんな息子の些細な異変を気にする余裕などなかった。
僕はただ、甘えてみたかったんだ。
子供だったから。
そんな歪みは、後の致命的な詐欺行為の根因のひとつだと考えている。 
多少勉強が出来たのも、運動が出来たのも、お行儀良く弁えがあったのも、ぜんぶたちの悪い、あなたに対する詐欺だった。
罪状はひとつめの、死刑。
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