第1話

文字数 592文字

まだ生きてんだぜ クドい
ストイックは足りない
オラリバウンダー エキストラウンダー
瑞瑞しいから泥々しいまで ABC
(全速力で遠回し/the ピーズ)

死にたい、じゃなくて、死んじゃうんじゃないか?
そう思うんだ。
それが、死にたい、を挟んで存在する感覚だったとは。
親友は言った。
「出たよ、死ぬ死ぬ詐欺」
そう、今思えばその通りだった。
確かにその時は、本気でそう思って不安になった。
で、まだ生きてる。
しかし、死にたいをなんとか誤魔化して、死なない様に生きてる段階での「死んじゃうかも」は、全然違った。
沈み込む浮遊感。
蒼黒く重たくて、冷たい心臓が、五感がぼやけてふわりと浮かぶ身体を五寸釘みたいにぐさりと刺し留める。
聴いた事のない旋律、ただ美しくぼんやりひかる景色。
そう、正しくは、死んじゃうかも、ではなく、死に始めてるのかな?、になる。
人生そんなもんだと気付く。
その不安を忘れて、みんな生きてる。
生きる為に忘れる。
生かす為に、忘れさせ、それが「生」であると、相互に置換作用を働かせ、置き去りにされて、隠すまでもなく忘れ去られ、時々世に顕れそうになると全方位から隠蔽される。
ほんとうの人生は、「死」への道程。
そこを生きてる人が居る事は、鬱になった時同様体験的に理解した。

だから、僕はまだ「死」に実感ないまま、いやだからこそたくさんの死ぬ死ぬ詐欺を働いた。
重罪、罪状は死刑。
いや、無邪気だったと思う。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み