なみだ石の伝説 第2話

文字数 835文字

、、、と詳しく知っているようだが、僕は父が亡くなったあと、すぐ頭屋村を出て、遠い親戚をたより、東京にでていった。

5才の頃の話だったから、なみだ岩についてくわしく覚えているわけではないのだ。

この「なみだ岩」にのぼり、その上で涙を流し、「なみだ岩」に、涙がしみこんでいくなら、その人は幸せになるという伝説がある。


この「なみだ岩」伝説を知ったのは、ふとしたきっかけだった。
親戚から東京に送られてき、父の形見を整理していた時、父の日記を見つける。
古ぼけたページを,めくっているうちに、こんな記述にであったのだ

「涙岩は 何百年かに一度、必ず崩壊する。
そして、その跡には、指でつまめるほどの小さなかけらが残る。人はこれを原石
と呼ぶがたま、そのあとに残ることがある。

なみだ石のほとんどは夜空に舞いあがっていく。そしてなみだ岩はきれいになくなっていて、あとには大き々穴があいている。まわりの草原も焼けただれている。

この話は、先祖代々に渡り、頭屋村に住んでいる者のみに語りつがれている。」
と、、、

 僕は子供の頃見たことのある「なみだ岩」を、もう一度、はっきりとこの眼にしたい。
涙を流したいと思う。あれほど美しい原岩がこわれぱ、どれほどの「なみだ石」ができるのだろう。涙岩の美しくくずれる瞬間、それをながめたい。
 さいわい、「なみだ岩」についてはあまり知られていない。
もし旅行維誌がとりあげれば、一たちまち大勢の人でうめられてしまうだろう。
しかし、神立山は観光ルートからはなれた辺境で、訪れる人はほどんどない。
「なみだ岩」は、ごくわずかの人しか知られていない。
たとえ、「なみだ岩」のことを土地以外の人が知っでも、「なみだ岩」で悲しみ
をとりのぞいてもらい、本当に幸福になりたいと思う人にしか「なみだ岩」の場所を教えてはならないのだ。

僕の行動は、あらゆることを投げすて、その「涙岩」に行きつけたい。
と思った時から始まっていた。

(続く)

なみだ石の伝説第1回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務
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