第2話

文字数 565文字

私は立っている
立ち上がっただけで偉いのだ
なぜなら今は夏休みの終わりかけだからだ
残りの日数が休んだ日数よりも上回った時
それは私にとって世界の終わりを意味する
もう残りの休みは気が気ではない
課題は終わらない
やることはない
畳に寝そべるばかりで休みが過ぎていくのと同じように
立ち上がっても時間は過ぎていくらしい
すなわち余計な思想が頭を駆け巡る
私よりも頭のいい学校に入ったあの子
関わりはないのだけど
妬ましく思う
私も頑張ればよかったのにと無駄な後悔が駆け巡る
そんな私
自分を客観視できるくせに行動には移せない
移す気がない
そこがあの子と決定的に違うのだとわかっている
だからこそ私は今
判断を鈍らせてはいけないのだ

ここに見上げるほどの大きな木がある
全貌が見えない大きな木陰にいるようだ
木漏れ日を全身に浴びている
それだけではない
私はいつ外に出たんだ
畳が木の下に敷いてあるはずがない
とは言い切れないが現実で遭遇することは
ないと言っていいだろう
周りには青々とした茂みが風に揺れている
木陰からでもわかるほどきらきらと輝きを見せている
私は今、終わりの見えない草原を
眺めることしかできないのだ
このただの畳の上で
草木のいい匂いがする
畳の匂いも負けていない
それと同時に
ここは一畳の孤島と化したと言わざるを得ない
そして
私は夏休みの呪縛から解放されたと
言わざるを得ないのだ






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