第1話

文字数 359文字

夏が終わる
私には信じ難いことだった
夏は永久に続くもの
心の中でそう思い込んでいた
夏が始まればあの子たちとの距離が測れる
そうすれば私は自由になれる
そう思っていたのに
もう終わるなんて
畳に寝そべって風鈴の音を聞いても心は晴れないのだ
課題も終わっていないのに
雰囲気のある神社に行くつもりだったのに
山に登ってデトックスするはずだったのに
本を山ほど読んで優越感に浸ることもなく
夏が終わってしまうなんて
私のせいだと言えばそれまでなのだが
私が悪いなんてそんなことは思わない
夏が暑いのも私の夏が充実しなかったのも
全て私以外の全員が悪いんだ
そう思うことにした
そして私の夏休みはあらぬ方向に進んだ
夏休みが延びるのならと喜んで受け入れようと
私は自らの足を運び進んでみた
これは誰のせいでもない
私のせいなのである
私と夏の罪滅ぼしとやら始めてみようか
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