1-9 脱出、そして安心
文字数 989文字
踏みしめるものがアスファルトに変わった時、サイレンは止まっていた。
周りを見回したが追ってくる者は見えなかった。
食堂まで戻ると、談笑する客達も、職員数人も、永 と蕾生 を特に気に留める素振りはなかった。
皆さまお疲れ様でした
当研究所の一般公開プログラムはこれで終了いたします
入館証をこちらにご返却のうえ、出口までどうぞ
案内に従って客達が動き始める。
二人は公園へと入り、ベンチに腰掛ける。
周りには普通の人々の息遣いを感じられて、
渡されたたこ焼きは熱々でソースのいい匂いがしていた。
笑いながら永 は自分の分のパックを開け、たこ焼きをひとつ楊枝で刺してそのまま口に運ぶ。
熱いたこ焼きをじっくり味わって食べ、ようやく一息ついた心地になった頃、永 は意を決したように口を開いた。