2018年、離婚して無職になる

文字数 1,351文字

 2017年にハッキングされたことも原因だが、謎にGoogle検索や予測変換、Twitterを使って口説かれるようになった。そのTwitterのリプがきっかけで離婚することになった。私は公衆の面前で思わずその相手に「好きか?」と聞かれて「好きだよ!」と言ってしまったのである。

 これでは夫に示しがつかないし、失礼だ。それに、Google検索バーでは文字を入力すると『結婚しないと殺す』、『東京湾に沈める』など、怖い言葉が並んだのだ。と言っても、なかなかに信用してもらえないのだが。

 その『相手』について私が知っていたことと言えば、

・おとめ座のA型
・お兄さんの結婚指輪を失くし、怒られたことがある

 ということだけだ。わかるわけがない。

 ハッキングの予測変換で「あなたのクッキーが食べたかった」と言った人間。本当に心当たりがなかった。なぜなら私は結婚していたし、異性に好かれるような状況下になかったからだ。

 私は当初、『ハッキングができて、私のことを知っている人間』ということで別人を想定していたが、その人間ではなかった。

 そして、転職サイトで肩書が変更されたころにより、シナリオ会社との契約を解除し、『クリエイティブディレクター』として転職しようと考えた。
 アホだった。日本のアニメ脚本の仕事や、海外アプリの仕事を蹴ってしまったのだ。

 2018年1月。ハッキングや脅迫で怖い思いをした私は、実家に身を寄せていた。夫――2月には離婚したのだが――の身にも危険があるのではないかと感じたからだ。
 転職する前、私は今まで一次落ちした小説全部を、日本の大手出版社に送りまくった。

 そしたら、予測変換で「作家とは聞いていない!」と出てきた。

 いや、作家……まぁ作家でもあったと言えばそうか。シナリオライターの副業みたいな感じでTL小説とBL小説で電子書籍作家としてはデビューしていたから。

 多分、このハッキングした相手は『広告業界に行こうとしていた私』、『ゲームシナリオを書いていた私』は知っていたが、某大手出版社の児童小説コンペ(大賞ではない)に応募していたことは知らなかったのだ。

 1月、私は新作の短編を書き、応募したのだが、その作品を書いているときもパソコンはハッキングされっぱなしだった。でも、その相手はわかっていた。私のことを好きな相手の他にもハッキングしている人間はいたのだ。

 私は「どうせお前はYのおっさんだろ?」とExcelシートに打ち込んだ。そしたら『認』と出たのだ。

 このハッキング、何がある? クリエイティブディレクターって、何をすればいいんだ?

 わからないながらも小説を書きあげたのだが、それは一次審査通過で終わった。

 だが、この年だ。集英社ライトノベル新人賞三次通過、すばる新人賞二次通過を既存の一次落ちした作品でしたのは。
 それとともに一次通過すら約1%と言われる宣伝会議賞の3次審査にも通過した。

 ただ、このYのおっさん、なかなか食えない人間である。

 なぜなら彼も、クリエイティブディレクター。しかも著書で『普通の人間がだんだんおかしくなっていく様がいい』みたいなことを言っているようなヤツだからだ。

 私はこのYのおっさんに、人生を勝手にクリエイティブディレクションされつつあった。
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