第1話

文字数 295文字

 久しぶりに柳京に来た世子は荒れ果てた風景に言葉を失った。自分たちが北方に避難していた間、民たちはどれほど苦労したのだろうか。
 一行が城内に来ると集まっていた人々が涙を流しながら世子たちを出迎えてくれた。
 倭(日本)兵が漢陽の都に近付いた時、国王は世子や臣下の涙ながらに反対したにも拘らず王宮を出て行った。そして、明国に使いを送り亡命の意思を伝えた。国と民を捨てようとしたのである。
 王の望みはなかなか叶わず、その間、国内の状況は悪化した。自身は戻るつもりがなかった王は世子を帰し、国内を治めるよう命じた。
人々に囲まれて城内に入った世子は、自分は絶対に民も国も見捨てないと固く誓うのだった。
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