第1話

文字数 873文字

 文章には色々な書き方がある。
 口語的に書かれたモノや、文語的に書かれたモノ。
 全体を描く様な描写と、個人の心を描く様な描写。
 一人称、三人称。そして文体。
 行間や句読点まで述べようとすると、枚挙にいとまがない。

 そんな様々な文章が、様々な人間を、

として観せてくれる。
 いや、聞かせてくれる。『僕』『俺』『私』に。

 今僕は、『僕』として、自分の『声つき』をイメージしながら、この文章を書いているワケであるが、貴方(貴女)にはどの様に聴こえて(聞こえて)いるのだろう。

 とある作家さんがいる。
 自身の留学で得た体験を通して、観た事、出会った人々、そして考え思った事を素直な文体で表現している。
 そんな彼女は、確かに僕に、20代の女の子を聞かせてくれる。

 別の作家さん、50代のおっさんを自称している彼の場合では。
 正直、彼の文章は滅茶苦茶で、文法なんてお構いなし。
 でも、素直に自身の思った事、キャラクターの素直なセリフ。素直なストーリー展開。
 そんな文体、そんなスタイルが、僕に、少年の明るい声をイメージさせるのだ。作者の年齢は関係ない。

 小難しい言葉を並べて行間を空けずに詰めて『私』を自称する人は、とても野太い声に聞こえるし、
 同じ『私』を自称していても、行間をしっかりと開けて、観る人の共感を意識した文体では、綺麗な女性の声が聞こえる。

 ジャンルもあまり関係ない。
 エッセイなんかは、そのまんま他人とお話をしている様な感覚だし、ファンタジーの様な『物語』でも、やはりその人が読み聞かせてくれている感覚だ。まるで朗読劇や紙芝居の様に。

 子供の頃読んだ教科書とかも、やっぱり声だった。
 だから僕の場合、わざわざノートをとる

を感じられなかった。
 先生の話を聞いて、教科書に書かれた文章を聞くだけで済む話だったからだ。

 皆さんは文章に、何を感じるのだろうか。

 先日、文章に『絵』を観る人の話も『聞いた』。
 もしかしたら文章には、観る、聞く、の他に、嗅ぐ、なんてモノもあるのかも知れない。

 皆さんは、文章を読んで、何を感じるのだろうか。

 
 
 
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