接触
文字数 949文字
「カイさんですか?」
余計なことを考えてた俺に後ろから女の緊張した声がかけられた。振り向くとそこには大きなトートバッグを肩からさげた、髪を束ねたメガネの垢ぬけない女がいた。
「はい、そうです。もしかしてアカネさん?」
第一印象が大切なので明るく優しい声で返事する俺。
「はい、そうです。はじめまして…」
地味なトレーナーにジーパン姿のアカネさんは恥ずかしそうにおじぎをした。
”トートバックを持った地味な服装の18の専門学校生って、まんまじゃん… それに結構カワイイし! これがあるから止めらんネーんだよ!”
「そんなに固くならないでよ、アカネさん! まず食事でもしない?」
”こんな上玉が怖がって逃げださないようにしっかりエサを使って…”
「エッ! こ、これからごはん食べるんですか!? わ、私すぐにでも始めに行くのかと思ってました…」
“ういやつめ…”
「こんな時間だとお腹減っているでしょ? 軽く食べながら少しお話しようよ!」
「わ、私って初心者なので… よ、よろしくお願いします!」
アカネさんは一層顔を赤らめておじぎを何度もした。
先にシャワーを済ませベッドに腰をかけた俺は、アカネさんの浴びるシャワーの音を聞きながら食事の時にした話を思い出した。
“高校出て都会へ来て専門に行ってみたら、まわりのコたちはみんな済ませていたんで自分も早く捨てたいって… 周囲のことなんて気にしないで自分の思うようにすればいいのにって思うがな… でもそのおかげで俺も久しぶりに初物をいただける訳だし…”
タバコを口で吹かしながら煙をはく。
“念を入れてシャワーを浴びる時にゃ金目の物は一緒に持って入ったが、真面目そうだからそんな必要なかったな…”
ギイ~
シャワールームの扉をゆっくり開ける音の方へ目をやった。扉の奥からはアカネさんの声が。
「すみません、恥ずかしいのでコッチを見ないでください… 初めてなので…」
「わかったよ、アカネさん」
“獲物を逃がす訳にはいかない… もう少しガマン…”
「そっちへ行くまで後ろを向いててくれませんか?」
振り向かないようにして耳を澄ますと布ずれの音とともに人の歩く音が近づいて来る。
“キタキタ!”
俺のキモチとカラダの期待感が最高潮に達した時だった。