第2話

文字数 7,381文字

『ちがう。1人でNBAの試合を見に行ってくる。これは仕事じゃないから(^^)』

『何ソレ?ドユコト??(‘Д’)』
『ただの遊びってことだよ(^_-)-☆』

「はぁ!?ムカつく。」
ビナは、信号待ちの人混みでつぶやいたので、みんながビナを見た。

アレクシスとカイルは練習をしていた。
アレクシスはスターティングメンバーで、カイルは替えの選手なので、気まずかった。
アレクシスは長い人生のために、稼いでおきたかった。
何が起きるか分からない。

アレクシスは、カイルがイーデンや他の女を連れて来て、キスをしたりしたら、思い切り嫌ってやろうと思っていたが、カイルはそんな事をしなかった。
『俺はモンスターだ。』 
アレクシスは、頭を抱えて座り込んだ。
「大丈夫か?」
キムコーチが話しかけた。
「キムコーチ。すみません。」
アレクシスは、立ち上がった。アレクシスは、ポイントを下げたくなかった。
「疲れてるな。」
「いえ、大丈夫です。」
お得意の笑みを見せた。

「カイルとは友達だったんだろう?」
「はい。そうですが、何か‥?」
「あいつは頑張ってる。2人とも、東京オリンピックメンバーに選ばれるといいが。」
「ええ、もしそうなったら、光栄です。」

「キムコーチ。」
白人選手が話しかけて、会話は中断された。

「目標の午後3時に着きました。」
ミンジェは、スマホを口にかざして言った。
録音も何もしてない。なんとなく、男の子だった頃の癖が残ってしまっている。

試合は6時からなので、ホテルに荷物を置いて、少しベッドで休んで、散歩をすることにした。
ベッドには大の字になる。
メジャーリーグの球団にも、迷惑な女の子が来ている。
普段はうざいと思っているのに、なぜかこういう時には、その子のことを想ってしまう。
最悪だ。あんな子を抱くなんて‥。
「ソナさんに会いたい‥。」
ミンジェは涙を流した。

その後、ミンジェは海の近くの道を散歩して、大きなサボテンがあるハンバーガー屋があったので、食べることにした。

「よし、NBAの試合見るぞ。」
元気になったミンジェは会場に入った。

試合にスターティングメンバーで出場したアレクシスの調子は好調だった。
『オールスター』
コンバーススニーカーのオールスターマークが、絶好調な時のアレクシスの心の中にあるマークだ。
『オールスター』
今日もそれでいけた。

コーチは選手交代を言った。
一瞬、自分がさされたと思ったが、ちがった。
一番冴えないメンバーだった。よかった。
交代して出てきたのは、カイルだ。

ミンジェは、ジェレミーを見つけた。
ジェレミーは、小柄な黒人の隣にいる。
「カイルー!!」
ジェレミーは少し赤い顔で、酔っているみたいだ。
ミンジェは微笑んだ。
しばらくして、ジェレミーは『こっちに来い』の合図をしたので、
ミンジェは、『ここでいい』の合図をにっこりとした。

韓国にいた時から、メジャーリーグを意識してきた。
ジェレミーは良い人だと思うが、変な人もうまくあしらわないといけない。

ミンジェは再び試合に集中したが、ジェレミーが近くに来た。
「こっちに来いって。一緒に観戦しようぜ。」
「あはは、わかった。」
ジェレミーはミンジェの手をとったので、ちょっと困り笑いをした。

アレクシスはカイルが入り、少しペースが乱れた気がしたので、
『オールスター』と、本気で強く願った。
そう思うと、ゴールにそのマークが浮かんできて、入らなくて苦しいはずのゴールが、わくわくした物に思えてくる。

ジェレミーはにこにこして言った。
「アレクシスがナイスアシスト。」

まず、その状況に陥った時は、体力を温存する事に限る。自分が下げられるのは他のメンバーが苦労すると思う。アレクシスは他のメンバーを頼ってもきたし、頼られるように持ち上げてきた。
これは当たり前なのだが、試合中、ゾーンに入ると、アレクシスは当然の事が分からなくなる。

カイルが後ろに来て、ボールを受け取ってくれた。
やっぱり、ピンチの時は、冴えないヤツが力になってくれる。
カイルをNBAに入れたのは、アレクシスだ。

「お疲れ様。」
選手交代で、補欠が手を出してきて、アレクシスはお得意の笑みでタッチをした。
アレクシスは大股で、タオルで汗を拭きながら、試合を見た。
監督の表情を盗み見た。
「ふん、まぁいいさ。」
アレクシスはつぶやいた。

カイルはシュートした。
アレクシスはお得意の笑みで喜んだ。


「こちらは友人のヘクターだよ。コーンの会社に勤めているんだ。」
「ミンジェです、よろしく。」
「わぁ、メジャーリーグ見ているよ。」
ヘクターは、白い歯を見せて笑った。とても良い人そうだ。
お金をせびらない友人ができるといいかもしれない。

ラストでアレクシスは出され、カイルは下げられた。
カイルは満足そうにタオルで汗を拭き、アレクシスが背を向けた時、
監督はカイルと握手をした。


アフリカ。
東京オリンピックの予選が開かれている。
「バルトー!」
ファンの女の子たちが叫んでいる。
バルトは緊張しすぎてしまい、予選で3位になってしまった。
ビリとも大差がないので、ちょっと怖くなる。
でも、陸上はそういう世界だ。

「ええ?」
「バルト、元気ないよね。」
ファンの子達はこそこそと話した。

メリエムと上の方で観ていたブラハムは言った。
「ちょっと、俺、バルトに声をかけてくる。」
「うん、わかった。」

ブラハムは走って、観客席から、バルトに声をかけた。
「バルト!」
「ん?」
「緊張するな。いつもどおりでいいぞ。」
「そうだね。ありがとう。」
バルトはいつもの笑顔に戻った。

決勝ではバルトは本気を出した。そして、優勝した。


東京オリンピックメンバーに、アレクシスとカイル、タリスタンも選ばれた。
ミンジェも、韓国代表で、野球に出る。

「あ~、何も持って行かなくてもいっかぁ~。」
自分の部屋で、ミンジェは笑顔で言った。
「でも‥。」

「メジャーリーグのユニフォームはいりますかぁ?
‥なんて、聞けない。
失くしたらヤバいし。あー。どうしよう。」
ミンジェは一応、スーツケースにメジャーリーグのユニフォームをしまった。
それから、アメリカで買ったスプレーやワックスを入れた。
ビナに自慢するためだ。


アレクシスは妙にイラついてしまい、服をクシャクシャと入れた。

カイルは、服をたたんでまるめて、紐で止めて、スーツケースに入れた。
「手伝う?」
「いや、いい。」
「そう。」
イーデンが聞いたが、カイルは断り、イーデンはまた、リビングに戻ってしまった。
イーデンは、たまにカイルの部屋に来ている。

NBAのバスケ選手は、チャーター便に乗り込んだ。
何度も海外遠征をしたことがあるのに、タリスタンはいつになく不安な気持ちだった。

タリスタンは初めての海外遠征を思い出した。
同じチームのメルヴィンは14歳の頃からの親友だ。

タリスタンは普通の旅行ではないと分かっていたが、一応ガイドブックをトランクに入れてしまった。
「う~ん。」
バスケに使うジャージやユニフォームやタオルはすぐに準備できた。
大事なのは、残り時間だ。
タリスタンはスカルのトップスとダメージジーンズを入れた。
「これも、持って行こ!」
タリスタンは、少し怖そうな店で買ったシルバーのアクセを入れた。
「あとはぁ~、このおもちゃを持って行こう。」
タリスタンは、ガンダムのフィギュアを見た。
ガチャ
突然、ママがドアを開けた。
「なんだよぉ!」
「いや、ちゃんと荷造りできるか、心配だったから。」
「出来てるよぉ!」
「ちょっと、ママに見せてみなさい。」

「あれ!!タリスタン、これ、なんなの!!こんなおもちゃ、持って行っちゃダメ!!」
「だって‥。」

ママの大声を聞いたパパが顔を出した。
「どうした?」
「パパ、タリスタンがこんな物を持って行こうとしていたの!!」
「ああ‥。」
パパとママは、部屋から出て行った。

タリスタンは泣いた。
「だって‥、ハリーもキースも、外国に行かれないんだぞ。やだよ、俺が嫌われたら。」

「何?」
ママがドアを開けた。
「だから、友達と遊んだ思い出の物を、一緒に持って行きたかったんだよ。」
「それでも、ダメ。」
「うう‥。」

ママとパパが、またドアを開けた。
「タリスタン、やっぱり、海外遠征に行くのやめたら?」
「はぁ?だって、ここまで頑張ってきたんだぞぉ。」
「でもさ‥、あんたはこんなに狂っちゃってるじゃないの。」
「俺は‥狂ってねぇよ!!」
タリスタンは、強情に行くと言い張った。
そして見事、飛び立ったのだ。

初めて海外遠征に来て、タリスタンは正直うれしかった。
メルヴィンも少し笑っていたので、同じ気持ちだったと思う。
夜のミーティングで、先輩が、「ガイドブックを持ってきたヤツはいるか!!」と怒ったので、怖くなった。
『トランクが調べられたら、もうおしまいかな‥。』
メルヴィンも下を向いている。

ミーティングが終わり、部屋で、タリスタンはメルヴィンに聞いた。
「あれさ、持ってきた?」

ついにメルヴィンは笑いだして、ガイドブックを取り出した。
「うひー、持ってきたぜ。」
「やっぱ、そうだよな。持ってきちゃダメなんて、俺、わかんなかったぜ。」
「アハハ、だったら最初に言ってくれよって感じだよな。」

タリスタンが他の仲間とおしゃべりをして、しばらくしてメルヴィンのソファーに戻ると、メルヴィンはウルトラマンのフィギュアを持っていた。
「あれ!お前、それどうしたの?」
「持ってきたんだよ。友達との大切な思い出の品だからね。」
「ダメなんだぞぉ、そういうの持ってきちゃ!」
「どうして?だって、大事な物だもん。ロンドンにもこれ、持ってくぜ。」
「なんだ、ロンドンて。」
「ロンドンオリンピックだよ。」
「ああ、そうかぁ。俺たちの最終目標はオリンピックだもんなぁ!」


次の日のミーティングの後で、おしゃべりをするタリスタンとメルヴィンに先輩が言った。
「お金持ちはダメだからな。」
「え?」
タリスタンが先輩を見ると、先輩は行ってしまった。

「どういうことだろう?」
「きっと、お金持ちの人は、スポーツ選手になれないんじゃないの?」
「そうなの?えー、じゃあ僕はもうおしまいだ。爺ちゃんが貧民は嫌いだって。」
「へー、タリスタンの爺さんって、金持ちなの?」
「うん。それにさ、スポーツ選手って金持ちになるだろう?」
「そうかな?」
「うん。じゃあ、自分の子供は出られんのかい。」
「ああ、そういうことだなぁ!」
メルヴィンは言った。

「先輩、あれじゃいかんでしょう。」
「うん、ダメだねぇ。」
タリスタンとメルヴィンは話した。

バスケ以外の時間、私服を着る事ができなかった。
みんなジャージでいたからだ。
でも、タリスタンは、せっかく持ってきたスカルのトップスとダメージジーンズを、帰る日に着た。
メルヴィンも赤いジャケットを着て、ストールをしている。
メルヴィンは、タリスタンのシルバーのネックレスを見て、言った。
「お前、そのペンダント、超おしゃれじゃん!!」
「一応、トランクに入れてきたんだよ。」
「俺も持ってきたから、つけるわ。」
メルヴィンもシルバーとゴールドのチェーンのネックレスをつけた。

みんな、空港の空き時間に、土産物を目一杯選んでいる。
先輩たちはソファーでのんびりしているし、家族からお土産はいらないと言われていたので、タリスタンとメルヴィンもぶらぶらとキーホルダーを見たりした。
メルヴィンは言った。
「キーホルダー買おうかな?」
「でもさぁ、そういうのよくないぜ。遠征のたびに、買うなんてさ。
いつ球を持てなくなるのか、わからないのに。」
「まぁ、そうだよな。」
メルヴィンは買うのを止めた。

メルヴィンが、友達にお土産を買うのを迷っている間、タリスタンはチョコレートの箱をしげしげと眺めた。
メルヴィンが聞いた。
「それ、買うの?」
「ううん、見ていただけ!」
「あはは、そうかぁ。」

タリスタンとメルヴィンは、今日も、あの日のネックレスをつけている。
まもなく離陸が始まるので、おしゃべりをする者もいるが、大体はうつむいたりしている。
アレクシスも不安な気持ちで、機内を見渡した。
カイルは、隣の選手と少し話して笑っている。
アレクシスは少し安心した。
『そうだ。カイルはオリンピックに出場できることになった。』

『考えてみれば、カイルに殺されたレックスは、変わっていたな‥。』

機内食の時間にカイルを見ると、隣の選手とおしゃべりをしたが、一瞬黙ってパンを食べた。
もしかしたら、英語が聞き取れなかったかもしれない。
でも、すぐに隣の選手と話して、笑いだした。


本番5日前から、外国人は一切、練習に入れなかった。
アメリカのメディアだけが、入ることが出来る。
バスケットボールはアメリカの誇りの一つなので、みんな命懸けだった。

カイルは本番3日前に、レックスを殺した日のことを夢で見てしまい、頭をおかしくした。
胃はなんとなく冷たく、食欲がない。それに頻尿になった。
アレクシスは緊張で息が苦しかった。
それでも、カイルの異変には気づいていた。
ここまでカイルを連れてきた自分にも責任がある。
カイルが殺人者だと知って、オリンピックまで連れてきた。
心のどこかで、滑稽なカイルの姿を楽しんでいた気がした。

いつもと違うカイルが、アレクシスに笑顔で聞いた。
「最近みんな、俺を見て、笑ってない?」
アレクシスは真顔で言った。
「大丈夫か、カイル。もし、出場が難しければ、今からでも代えの選手を呼べるぞ。」

「そういうわけじゃないよ。本気にとらないでくれ。」
カイルが言い、アレクシスはカイルを見た。

「カイルー。」
他の選手が呼んだので、カイルは行ってしまった。

『なぜ、俺は、カイルを連れてきてしまったんだろう?
きっと、可哀想なあいつを見ていると、面白かったからだ。』

立ち尽くしたアレクシスに、コーチが話しかけた。
「アレクシス、大丈夫か?」
「はい。俺の調子は万全です。」
「そうか、よかった。カイルも絶好調だ。」
「は‥?そうですか?」
「そうだ、お前はそう見えないか?」
「ああ。」
アレクシスは言葉を失った。
アレクシス以外の選手は、カイルとうまくやっている。

『これが、敵に塩を送るってヤツか。』
アレクシスはシュートした。

検尿がある。
トイレの前には、引退したバスケ選手がおり、みんな嫌そうだった。
水道は使えなかった。
トイレで用をたし、容器にいれ、入れ物にいれる。
まるでゴミ箱に入れるかのように、カイルは入れた。
アレクシスはそっといれ、引退した日本バスケ選手に手を振った。

当日。
はぁはぁ
観客がいる廊下を、カイルは走った。
はぁはぁ
ドン、カイルがぶつかり、ミンジェは振り返った。
「あれ?」
「ごめん。」

「カイル!!」
ジェレミーがカイルを呼んだが、カイルは走って行ってしまった。

ジェレミーがミンジェを見た。
「今の、俺の知り合いなんだ。ちょっと行ってくる。」
「うん。」
ミンジェは、心配そうに見た。

「お兄ちゃん。」
ビナがミンジェを呼んだ。
「おお。」
今日は3人で観戦する予定だ。

「タリズターン!」
関係者席から、山田が手を振った。
「ヤマダ!」
タリスタンも合図をした。
「頑張って。」

カイルは頭が真っ白になり、走っていた。
「カイル!!大丈夫か?」
「誰だ‥。」
「ジェレミーだよ。分からない?」
「ごめん。俺、突然パニックになっちゃって。」
「医務室に行った方がいい。」
「大丈夫だ、ちょっと休んだら‥。」
カイルはうずくまった。

「あの‥大丈夫ですか?」
選手全員の顔を覚えてある、熱心で小柄な男性スタッフが声をかけた。
ジェレミーが言った。
「すみません、ちょっと緊張でパニックになってしまったみたいで。」
「何か、飲み物を買ってきましょうか?」
「どうする?カイル。」
「コーラを。」

「コーラ?分かりました。」
男性スタッフは駆け出した。
男性スタッフは、紙コップに入ったコーラを買った。

あたりはスローモーションになる。
カイルの家族が来ていたのだ。
家族は、カイルのしたことを全て知っていた。
昔のチームの仲間も来ていた。
男性スタッフは必死だった。
大柄な黒人がスタッフにぶつかり、紙コップのコーラはこぼれてしまった。

「ああ‥。」
カイルは白目をむき、失禁した。


相手のチームは韓国だった。
ミンジェは大声を出した。
「スターサムチ、調子はどうだ?」
サムチは親指をたてた。

「頑張れよ!」
ミンジェも親指を立てたグーをサムチに送った。

サムチたちは立ち上がった。

「カイルは体調不良のため、この試合に来ない。」
アメリカの役員が選手たちに伝えた。
アメリカチームは、不安げに観客席を見上げた。
席に、代表もれした選手がいる。
選手たちは、「お前と俺」の合図をした。
アメリカ側の関係者席には、NBAの役員や引退した選手がいる。

円陣を組んだ。
「はぁ、オールスター。」
アレクシスはつぶやいた。
「何?」
白人選手が聞いた。
「オールスター。」
「ああ、オーケー。」
白人選手はつぶやき、にやりと笑った。

キャプテンが何かお祈りの言葉を捧げ、気合を入れた。

韓国側も、韓国のためにお祈りの言葉を捧げ、キャプテンが気合を入れた。


バルトはピスの合図で走り出した。

ミンジェは相変わらず、今日もホームランを打つ。


40年後。
68歳になったアレクシスとニコアは、今日ようやく結婚をする。
神父となったジェレミーが、真ん中に立っている。

式の後、ジェレミーとアレクシスは話した。
「ジェレミー、今日はありがとう。」
「アレクシス、おめでとう。ようやくニコアと結婚できたね。」
「ああ。やっとみんなが俺を忘れてくれたよ。」
「まだ君を忘れてない。みんなが君を忘れられるわけない。」
「ありがとう。」
アレクシスはお得意の笑みで言った。

大統領となったバルト。
アフリカのために演説をした。奇妙な点は、バルトにはスターの友人ができなかった事だが、仕方ない。彼はいつだって貧民の味方になっていた。

そして‥。
「ソナさん、掃除機かけますか?」
東京オリンピックから40年経った今でも、まだ若いままのミンジェが、お婆さんなったソナさんに聞いた。
ソナさんはうなずき、ミンジェが掃除機をかける姿をながめた。

「ウ・ミンシンさん。」
「あの僕、本当はイ・ミンジェです。もう忘れてますよね?」
ソナさんは答えないので、ミンジェは仕方なく、掃除機を続けた。
「変わってる。」
ソナさんは言い、少し笑った。

The Monster

東京の雑踏は、寂しげで苦しげで美しかった。

By Song River
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