第9話 幼なじみというだけで
文字数 2,259文字
そっと逃げようとしていたリアムを捕まえてブレンダお姉ちゃんが言った。
リアムがそう言っていると、例のマントにミランダお姉ちゃんが手をかける。
リアムは生地に触れているミランダお姉ちゃんを素早くやめさせようとする。でも、ミランダお姉ちゃんの方がうわてだった。
ブレンダお姉ちゃんの言葉に、リアムが覚めた目を向けた。
しぶしぶとそう言う。
おだやかにミランダお姉ちゃんは言った。
ミランダお姉ちゃんは、リアムのお腹の部分にある、服の大きな切れ込みに触れて言った。
ミランダお姉ちゃんがブレンダお姉ちゃんを見て言った。
ブレンダお姉ちゃんはうなずく。
ブレンダお姉ちゃんの言葉に、ミランダお姉ちゃんはにっこりとうなずいた。
ミランダお姉ちゃんはそう言って、首に下げていた不思議に光る鍵を出し、みんなに見せる。
そう訊くと、ミランダお姉ちゃんは怪しく笑う。
そう言うミランダお姉ちゃんは、聖女のようだった。
ただ、綺麗なんだけど……
なんか怖かった。
冒険者さんたちに同情したのか、困ったような顔をしたリアムが言う。
ニコニコとブレンダお姉ちゃんは言った。
お姉ちゃんが言った通りにならなかったことなどない。
明日になれば、きっと全てがうまくいっているのだろう。
たまに、人間の方が、魔物よりも怖いのではないかと思うこともある。
でも、わたしには、とっても優しくて頼りになるお姉ちゃんたちだ。
そう言って、バスケットをリアムに渡した。
幼なじみというだけで、べつに好きなわけではないけれど、嫌ってもいない。
ただ、私が憧れているのは、愛し合っているのに祝福されない相手との恋だから。
でも、チョコレートが入っているチョコマフィンのなれの果ての魔力を回復する薬のようなお菓子は、リアムにあげる。