2-12 希望はある

文字数 913文字

 蕾生(らいお)の叫びが空しく響いた後の部屋には重い空気感が漂っている。


 星弥(せいや)(はるか)蕾生(らいお)を交互に見るけれど、どう声をかけていいのかさっぱりわからなかった。


 仕方なく星弥(せいや)はすっかり存在を忘れていたお茶のセットに手を伸ばし、淹れはじめた。

 えっと……、もう少し事情を聞いても?
 ──ああ、悪かった。騒いじまって
 ううん、いいの


 それに、すずちゃんの方が一方的で悪かったよう……な?

 いや、悪いとかじゃないと思う
 そうなの?
 俺達三人は、(ぬえ)の呪いってやつでずっと昔から転生を繰り返しているらしい
 らしいって?
 俺は呪いが一番濃いみたいで、記憶がねえんだ


 だから、俺も知ったのは最近で

 そう……
 (はるか)の方はずっと──最初に呪いを受けた時からの記憶があるし、鈴心(すずね)もそうらしい
 すずちゃんも?
 (はるか)鈴心(すずね)(ぬえ)の呪いを解こうとして転生を繰り返してる


 ──俺は覚えてないから過去に何をしてきたのかわからねえ

 そうなんだ……
 鈴心(すずね)は昔からリンって呼ばれてて、毎回俺達のところに15ぐらいでやってきて、呪いを解くために動いてたっぽい……
 ああ、それで「なんで若いんだ」って言ってたんだね?


 すずちゃんはまだ13歳だもん

 まあ、そうだ


 ──で、えーっと……


 あー……

 ……
 おい、(はるか)

 いつまで落ち込んでんだ!


 俺じゃ、これ以上はわかんねえぞ!!

 ふ、ふふふ……
 !?
 はあー、ライくんの理解度がこんなもんだとはねえ……
 お前がほとんど教えてくんねえからだろ!
 蕾生(らいお)が喚くと、(はるか)は顔を上げて見せる。そこにはいつも通りの人を食ったような表情の(はるか)がいた。


 (はるか)はうんと伸びをして座り直し、すっきりした顔で笑った。

 ──よし!落ち込むのやめ!


 ありがと、ライくんが場を繋いでくれたおかげで冷静になれた

 お、おう……


 で、これからどうするんだ?

 リンのことは絶対にあきらめない


 あいつは何かを隠してる

 ──だろうな
 まだこれからだ。


 二人の間にはまだ諦めるという選択肢はない。


 希望はあると信じて頷き合う。

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登場人物紹介

唯 蕾生(ただ らいお)


15歳。男子高校生

怪力なのが悩みの種

九百年前の武将、英治親の郎党・雷郷の転生した姿


周防 永(すおう はるか)


15歳。男子高校生

蕾生の幼馴染

九百年前の武将・英治親の転生した姿


御堂 鈴心(みどう すずね)


13歳。銀騎家に居候している少女

英治親の郎党・リンの転生した姿

永と蕾生には非協力

銀騎 星弥(しらき せいや)


16歳。高校一年生

銀騎詮充郎の孫で、銀騎皓矢の妹

鈴心を実の妹のように可愛がっている

永と蕾生に協力して鈴心を仲間に入れようとする


銀騎 皓矢(しらき こうや)


28歳。銀騎研究所副所長

詮充郎の孫

銀騎 詮充郎(しらき せんじゅうろう)


74歳。銀騎研究所所長

およそ30年前、長らく未確認生物と思われていたツチノコを発見、その生態を研究し、新種生物として登録することに成功した


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