第5話(11)

エピソード文字数 1,469文字

「にゅむっ、ごちそーさまーっ。満足ですー」
「海で食べるご飯先生は、格別やにゃぁ! 美味しさが1・5倍になっちょったぜよっ」

 ボクは気が付いたらパラソルがついた丸いテーブルに皆で座ってて、焼きそばやデザート(県内でとても有名なアイスクリーム会社さんが作った、メロンの形をした容器に入ったアイス※さっぱりしてて最高です!)を食べ終えていた。

「おいおいおいおい……。マジかこれ……」

 傍にある時計を見ると一時間半は経過してるのに、その間の記憶がない。少しも、一秒すらない。
 こうなった原因は、うん。十中八九、食料調達の最中に起きた『アレら』のせいだな。


 ~食べ物を買いに行ってる時~
『そういえ……ば』
『うん? どした?』
『壱市イチさんはなぜ、わたしがここに居ると、分かったので……しょうか。他の方には、お伝えしていない……のに』
『それは、特殊サーチ能力ぜよ! 実は壱市先生らぁ担当者には、ランキングに入れそうな先生の居場所を知れる――』
『フュールー、育月は素直な子だから冗談はヤメテねー。それは誰かが「色紙さんを目撃したぞ!」とか書いたんでしょっ。最近はマナーを弁えないヤツが多いからなぁ』

 ~食べ物を買うため並んでいる時~
『そういえば……です』
『う、うん? どした?』
『ピマ山ピマ彦さんって、どこの方なの……でしょう。日本の方とも、外国の方とも、思えま……せん』
『育月ちゃんっ、その人は別の次元の人さんなんだよー。次元が違うからお名前が――』
『レーミーアー、キミも冗談はヤメテネー? 育月、どうせそれはニックネーム的なモノだよ。壱市さんが対象にしてるのは地球の生産者なんだから、地球人に決まってるじゃないか!』


 こーんな感じでバカ2人が話をややこしくして、俺はその後も必死に誤魔化した。具体的に言うと、十七の問題を必死に誤魔化した。
 昨日の騒動の疲れがあるのに脳を酷使したから、記憶が飛んだのでしょうな。はぁ。

「…………栄養補給して休んだはずなのに、心身が回復してない。自販機にレモンが入った飲み物があったから、買ってきますわ」

 疲労には、レモン。檸檬。LEMON。俺は回復薬を求め、席を立つ。

「兄様が行かれるなら、わたしも行き……たいです。御一緒しても、構いま……せんか?」
「あたしも、ご一緒したいなー。いーかなーっ?」
「ワシもワシもっ! 一緒していいかえ?」
「少し、心を休ませたいの。にゅむ星人とぜよ星人は来ないで」

 暫く、キミらの顔を見たくない。もし非常事態が発生してもすぐ呼べるんで、アンタらはお留守番です。

「なら私は、その間に電話をしてくるわね。こまめに家に連絡しないと、両親が心配するのよ」

 シズナは魔法使い魔王として、どうしてもやらなければいけない仕事があるらしい(といっても、簡単な指示を出す程度だが)。そこでこの時間を使って、魔法で通信をするのだろう。

(レミアさんとフュルさんも、ついでに状況を確認しておいたら? 本人の承認が必要な案件が、一つあったはずよ?)
(にゅむ? にゅむー?)
(そんなの、あったかえ? 覚えがないにゃぁ)

 先代の魔王様勇者様、コイツらに力が移ったのは失敗です。性格はすこぶる良いが、仕事面はすごぶる悪いですよ。

(はぁー。シズナ、レミア&フュルのことは頼みました。いってきます)

 俺はいつものように溜息を吐き、育月と共にスタスタトコトコ。ビーチサンダルをパタパタ鳴らし、自動販売機に向かいますです。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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