第86話  楓蓮の過去  2

文字数 3,126文字

 僕はお姉ちゃんの話を聞いてるだけで、身体の震えが止まらなかった。僕の知らない間にそんな事があったなんて……



 いつも僕には笑顔だった。
 登校拒否になり学校に行けなくなっても、家では優しいお姉ちゃんだった。


 それなのにお姉ちゃんは……

今思えば、一概にあいつらが悪いとは思えない。

俺もその事件を助長させるような態度だったのは悪かった。


女のクセに隙だらけだったし、土日はあいつらの家に入り浸りだったし、着る服もシャツ一枚とか男みたいな格好だったし……

まぁ俺が。ずっとこいつらとは友達のまま。そう思ってたからだろうな。当然男としてなんて見てなかった訳なんだから

それでも。犯罪はダメだよ!
まぁな……だが俺も悪かった部分はあると思う
 お姉ちゃんはその事件があってからお父さんに報告すると、凄い形相で相手の家に殴りこんだって言ってた。

 どういう話になったのかはお姉ちゃんも知らないらしい。


あいつらと遊ばなくなって俺はまた一人になった。

元々松本や本庄とばかりつるんでいたから、余計に疎外感があってさ、女の子とかも仲の良い子も出来ず、俺は孤立していった。


そして俺も学校へ行かなくなった

 それは夏が終わったくらいかな? 確かお姉ちゃんは二学期から学校へ行かなくなったんだ。この頃はよくパソコンを使ってゲームとか色々してたと思う。


 夜になると、お兄ちゃんの姿で何処かへ出かけてたみたいだ。
 悪い奴らとケンカしてたっていうのは聞いてたけど
……あっ。これは違うお話だね。

それでもさ、頑張って学校へ行き出したんだけど、周りの状況が一変してて、とてもじゃないけど付いていけなかった。

勉強も出来なかったし、誰とも喋れないし……だけど……


その頃から男にやたら言い寄られるようになった。付き合いませんか~? って。毎日言われるんだぜ?

そんなの嫌だよぉ……僕もお姉ちゃんも男なのに

だろ? だけどさ……誰もそんな目で見てくれない。

楓蓮は一人の女性なんだ。


しかもさ、断るたびに色んな噂が飛び交って、あいつはヤリマンだの、ヤンキーだの色々言われまくるんだ

それだけじゃねぇ、俺に言い寄ってくる男を好きな女子生徒からも睨まれ、俺は……女からも嫌われる対象になった。

男共はひっきりなしに俺に告白してくるし、俺の居場所はショックで休んでいる間に無くなっちまった。

だから俺は教室にすら入れなくなり、職員室の隣で勉強してたんだよ

ひどい……何でそんな事されなきゃならないの?
さぁな。何であんなにイジメられたのか、未だに理解できねぇ。

それでもさ、俺はこの期に及んでも友達が欲しいと思ってたんだ。


それだけ松本や本庄と遊んで楽しかったのだけは、忘れられなかった。

あんな事をされても……俺は友達が欲しかったんだ

我ながらバカだと思う。

今度のターゲットは……職員室の隣で一緒に勉強してた男の子だった



 ※

そいつは大人しい奴だった。まぁ教室に入れない位だからさ、俺から声を掛けた。


友達にならないか? って

 僕はじっとお姉ちゃんのお話を聞いていた。
 ちょっとこの辺は楽しそうに喋ってるから。 

色々と理由はあったんだ。

まずは大人しいから、そんなエッチな事もしないと思ったし、人とは喋れないタイプっぽい。

松本や本庄みたいな、元は蓮をいじめてた。そんな人間じゃないと思ったんだ。

案の定すぐに喋れるようになった。

だって部屋には二人だけだったし、気兼ねなく話せたのは大きかった。


そこで! 俺は新たな作戦に出たんだ

 作戦とか聞いたらちょっとワクワクする。

今度は楓蓮を通じて、蓮に逢わせようとしたんだ。

偶然を装って逢ってもらって、そこから……蓮と友達になれないかって。

そうすれば男同士だし、間違いも起こらなければ……きっと上手く行くと思ったんだ

ど、どうなったの?

結果は大失敗だった。

そいつの帰り道で待ち伏せしてて、俺は蓮として何度も喋ったけども、全然相手にされなかったどころか逃げられたからな

どうして? お兄ちゃんだとダメなの?

簡単さ。楓蓮は女の子だからだよ。

そんな内気な奴でもさ、しっかり俺を……女として認識しているんだ

だけど俺は簡単に諦めなかった。

楓蓮でそいつに「蓮は従姉弟」と言ったり、とにかく良いヤツだと説明した。


自分の事なのによ……あたかも別人を装って、何とか友達になろうとしたけど……無駄だった。

蓮に対しては決して心を開くことはなかった

挙句にさ、そんな内気の奴でも……楓蓮に告白してきた。


俺はもうそこで……友達を作るのを止めたんだ。

打つ手なし。完全に諦めてしまった。もう……楓蓮では友達を作るのは無理だってな

だから俺は……高校ではもう一度男として生まれ変わろうとした。

最初から男として友達になったのなら……そんなエッチな事されねぇだろ? 


俺は男なんだし、それなら男で友達を作らなきゃ意味が無い。そう思ったんだ。

だから高校入学時はすっげー必死だったんだぜ

 お姉ちゃん……
 お姉ちゃんも凄い頑張ってたんだ。


 友達を作る為に……


 それと同時に、あの頃からずっと僕を守っていてくれた。
 そう思うと、お姉ちゃんは……凄く可哀想だと思ったんだ。

と言う訳だ。だから華凛には同じような道に進んで欲しくない。

男で友達が出来たんなら、華凛は出すべきじゃない。お前がつらくなるだけだぞ

うん……分かった。だけど僕はもっと……遊びたかった
 本当の気持ち。

まぁだけど、華凛の場合はさ、この時期に男で男の友達が出来たのなら、もう中学も男で行けばいい。

それなら俺みたいな事にはならないだろう?

う、うん! 僕は男だから

それさえ分かっていればいい。相手の気持ちも分かってくれれば、別に華凛でも遊んでも構わない。


その代わり何処でどうなっても知らないぞ?

よし、お話終わり! 

華凛。良かったな。友達が出来て……


俺も小学生の頃は、本当に友達が欲しくてな……

だからお前に友達が出来たのが凄く嬉しくて……

お姉ちゃんのおかげだよ。さっきのドッジボールも、お姉ちゃんがいてくれたから……そう思うんだ。


お姉ちゃん。ありがとう。

 お姉ちゃんがいなけりゃ……
 きっと謝ってくれてなかったし、また遊ぼうなんて言われなかったと思う。
なぁ。風呂入ろうぜ! 最近お前と全然入ってねーもん。お姉ちゃんは寂しいんだぞ
うんっ!

 ※

 久しぶりにお姉ちゃんとお風呂に入った。
 アザだらけの身体。お姉ちゃんは何も言わずに撫でてくれた。



 何だか泣きそうな顔になったので、僕はお姉ちゃんを揉み揉みすると最近変な顔になるんだ。梅干を食べたみたいに何か我慢してるみたいに見える。

こんにゃろ~エロ華凛め
あはっ。うわっ!
俺よりも大きくなるんだろ?
 めちゃくちゃおっぱいを揉まれると、僕はあっさり負けを認めた。凄い力で揉んで来るんだもん。
お前もモテモテになるぞ!
そんな事ないよ!
 あっ……そういえば。モテモテで思い出した。
ねぇ。お姉ちゃん。染谷くんのお兄ちゃん……どうするの?
 あ、しまった。凄い顔が歪んじゃってる。
 
 何も喋らなくなったお姉ちゃん。お風呂からあがるとようやく喋ってくれた。

俺はな……染谷君は親友だと思ってる。

大切な友達。男で出来た初めての男友達。だから……大切にしたいんだ

……最終的に俺の正体をバラしてもいいと思ってる。

だけど……楓蓮を好きだと言ってる。


一体どうすればいいのか、どうやれば上手く行くのか。悩んでるんだよ

ったくモテる女はつらいのお。お前もその内、こうなっちまうぞ

 笑ってるけど、きっと凄く困ってる。
 お姉ちゃんでも……どうにも出来ない。

 聖奈お姉ちゃんでも……今はまだ何も出来ない。

 
 僕がどうにかしなければ。

 虎にぃと協力して、全てを打ち明けても、友達でいられるように……僕が頑張るんだ!

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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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