第1話

文字数 1,066文字

 2024年1月1日。
 ここは、北陸のあるA市である。
 震度があった。
 大きく揺れた。
 A市の中心街には、JRの在来線が、走っている。そして、近所には、田畑の上に、東京へ向かう北陸新幹線が、通っている。
 しかし、ここのA市に住む売れない作家のヒロタカは、呆然として、しかも、怖いあまり、今は、クルマで、高齢になった両親と逃げた。
 売れない作家のヒロタカは、中学生相手に国語の講師を塾でしているが、それどころではなかった。
 何しろ怖い。
 ここのA市が、火の手が上がっている。
 パニックになって逃げている。
 普段は、ヒロタカは、売れない作家で、70歳を過ぎているヒロタカの両親から、「早く何とか真っ当な仕事につけ」と言われているが、できなかった。
 消防車が、カンカン音を鳴らしながら、動いている。
 しかし、国道は寸断している。
 近所の川の水の揺れは、怖かった。
 ところが、ヒロタカは、こんな時、70歳を過ぎている両親に「嫌な婆さんだ」「爺さんだ」と思っても、彼女も友人もおらず、偏屈な男だったが、それでも、何となく放っておけなかった。
 そして、ほうぼうの体で、A市の公民館に着いた。
 しかし、公民館は、一杯で、既にダンボールで寝ている人。
 毛布の人もいっぱいいたが、寒さで大変だった。
 40代後半になったヒロタカは、A市には、長いこと住んでいるが、そもそも、役に立ちそうな男ではなかった。
 そもそも、手先は、不器用だったし、血を見るのも苦手。
 大工仕事なんてできなかった。
 ヒロタカは、若い時、東京に住んで出版社の文学賞に入選して、本を一冊出した。
 または、A市の短歌にも入選した。
 しかし、講談社NOVELDAYSのホルスタイン上司と喧嘩になって、ヒロタカは、仕事が回ってこなくなり、ここの北陸のA市に戻ってきた。
 今回の地震は、ここのA市とB市、C市が、大変らしい。
 JRの在来線と北陸本線。それと第3セクター鉄道が、不通になった。
 実は、ヒロタカは、一時期、大阪にも住んで、お笑い芸人やダンサーになろうとしたけど、駄目だった。
 また、歌手になろうとしても、「騙されるからやめておけ」と言われていた。
 避難所の公民館には、A市の市会議員さんが、来た。
 みんなは、議員さんに怒鳴り散らした。
 そして、避難所の中では、性被害もあった。
 どうも20代後半の女性に乱暴した事件があった。
 D県警察のパトカーが来た。
A市の総合病院のお医者さんも看護師さんも、応急措置をとっていた。
 中には、妊娠している女性や、人工透析の人もいて大変だった。
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登場人物紹介

ヒロタカ…北陸地方のA市に住む売れない作家。

日吉…北陸地方のA市で仕事する図書館司書。ヒロタカに興味を持つ。

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