深作 冬一

文字数 6,188文字

(かっこの中は読まなくていい。みんながびっくりしてるだろ? ねらいどおり! のぞむところだ。がんばれ! オレはおまえのみかただ!)
 草太、だいじょうぶだ!
 目の前の引田先生を(しん)じろ! 先生はわかっているから。絶対(ぜったい)大丈夫(だいじょうぶ)
 草太、安心(あんしん)して読みつづけるんだ。オレがおまえの言葉(ことば)になってやる。草太がズルをするやつなんかじゃないって、オレがクラスのみんなに教えてやる。
 (こわ)くてしょうがなくなったら、後ろのドアを見るんだ。オレがついてる! すごいだろ? 不労所得(ふろうしょとく)自由(じゆう)なんだ。
 まかせろ! オレに切りぬけられなかったピンチはねぇ! そうだろ? んん? 税務署(ぜいむしょ)におこられたって? あれはな、授業料(じゅぎょうりょう)をはらっただけさ。おかげで今じゃあ、立派(りっぱ)納税(のうぜい)(しゃ)サマだ!
 そんなオレでもな、何を言えばいいか、わからなくなった時がある。どうすればいいのか、わからなくなったんだ。
 草太には(むずか)しくって当然(とうぜん)なんだよ。このオレが、おとなしくなるくらいなんだから。
 そういう時はな、ほかの人に言葉(ことば)をもらえばいい。いろんな人から少しずつ言葉(ことば)をもらって、なんか(ちが)うなって思いながら、自分(じぶん)にぴったりの言葉(ことば)(えら)んでいくんだ。だからまずは、オレがお手本(てほん)を見せてやる。
 きっとこの(さき)なんども、ぎゅっと(むね)(くる)しくなって、(ほね)みたいにちくちくする何かが(のど)をふさいで、頭が(いた)くなるくらいイライラする時が来る。(かな)しさがあふれて、どこか遠くへ()しやってしまいたくなって、(うそ)がこぼれる時も来る。おまえはなんにも(わる)くないのに、ずっとだれかに()められているみたいで、不安(ふあん)()しよせてくる時だってある。
 だがな、安心(あんしん)しろ。オレがぜんぶ解決(かいけつ)してやるよ。オレが草太のかわりに、みんなにぜんぶ説明(せつめい)してやる。
 そうすればな、このあとずーっとついてまわるやっかいな瞬間(しゅんかん)も、へっちゃらになるんだ。作文を書かなくちゃいけない時だって、家族(かぞく)について聞かれた時だって、なんにも(こわ)くなくなる。
 この授業(じゅぎょう)がいやだったろ? 草太の力なら、作文なんかチョチョイと書けて、一番楽な宿題(しゅくだい)だったよな? 
 オレが教えたんだから。なのに、どうしていいかわからなくなった。いちども読んで(たし)かめなかったくらい、()げだしたくてたまらないテーマだったよな?
 もう大丈夫(だいじょうぶ)だ。みんながすんなり理解(りかい)できるように、オレが書いてやったからな。それでもいじめるやつは、家に()れてこい。札束(さつたば)でぶん(なぐ)ってやるよ。ゲームコレクションに漫画の森、うまい菓子(かし)映画館(シアタールーム)。オレはクラスメイトの4(ばい)くらい長く生きてるんだ。ガキンチョを言い()かすなんて、簡単(かんたん)なんだぜ。馬鹿(ばか)なガキにはきっちり裁判(さいばん)おこして、そいつの家族(かぞく)責任(せきにん)をとってもらえばいい。また金を(かせ)いじまうな!
 今わかっていることを、オレが作文にしてやった。だからおまえは読むだけでいい。
(おちついて。しっかり(いき)()って、しっかり(いき)をはくんだ。あせらずに、ゆっくり読んでいくんだ。)
 その日は空気がカラカラにかわいていた。1月2日のことだった。真夜中(まよなか)だ。年の()れから、ずっと雨がふっていなかった。しかも風が強くて、となりの家から出た火が、あっというまに大きくなって、家におそいかかった。
 最初(さいしょ)に気づいたのは、1(かい)で寝ていた父さんだった。すぐに大きな声で火事(かじ)だと(さけ)んだ。その声で2(かい)で寝ていた(ねぇ)ちゃんが目を()まして、カズ(にぃ)(たた)()こしたらしい。カズ(にぃ)(ねぇ)ちゃんに逃げるように言い、1(かい)へむかわせ、自分(じぶん)は草太が()ていた屋根裏部屋(やねうらべや)(いそ)いだ。()ていた草太を(かか)()げると、廊下(ろうか)へと引きかえした。その時にはもう、(けむり)がすごくて、カズ(にぃ)は近くの寝室(しんしつ)からベランダへ出た。
 ここでちょっとした悲劇(ひげき)()きた。
 カズ(にぃ)はサルエルパンツを()いていたんだ。みんなわかるかな。()こなせたらカッコイイんだけど、とにかく足が()がりにくいズボンを()いていたんだ。
 (ねぇ)ちゃんが適当(てきとう)に買ってきて、体型的(たいけいてき)にもカズ(にぃ)にはまったく似合(にあ)ってなかったんだ。()てるのはもったいないからって言いながら、少し(あこが)れをもっていたカズ(にぃ)はパジャマとして()いていた。絶対(ぜったい)(かがみ)の前でなんどもポーズをとったことがあるぜ。
 そんなズボンを、火事場(かじば)馬鹿力(ばかぢから)(また)生地(きじ)を引き()きながら、草太を(かか)えたカズ(にぃ)は手すりを()えて、おりようとした。
 そこでなかなかな悲劇(ひげき)()こった。ベランダの下には(にわ)があって、父さんが作りそこねた石の灯籠(とうろう)があったんだ。
 なんでそんなものがあったかというと、家を建てた20年以上( いじょう)も前にそれははじまっていたんだ。
 大工(だいく)になりたかった父さんは、どんなに仕事(しごと)(いそが)しくても、休みの日にはかならず自分(じぶん)の家が出来上(できあ)がっていくのを見学(けんがく)に行った。それこそ家族(かぞく)をほっといて、大工(だいく)仕事(しごと)をずーっとながめていたんだ。母さんはすっかりなれっこになって、弁当(べんとう)()たせてやってた。
 ここまで大工(だいく)()きなのに、どうして大工(だいく)にならなかったかっていうと、ヒイジジィエイチキューの(ゆる)しがもらえなかったからなんだ。
 だから自分(じぶん)では家を作れなかった。でもその分、家のものはなにかと手作りしようとした。出来(でき)のいいのもあれば、まったく使(つか)いものにならないやつもあった。
 はじめに作った椅子(いす)はひどいもんだった。足がガタついて、長さをそろえようと、順繰(じゅんぐ)りに足を(けず)り続けて、チャイルドチェアになっちまった。草太が小さいころに使(つか)ってたやつがそれだ。
 見事(みごと)なダイニングテーブルと椅子(いす)だって作ってはいたけれど、()きなわりにはへたくそだったんだ。
 その中でも最悪(さいあく)なのが、灯籠(とうろう)だ。家の中で、手作りのものに置き換えられるものがなくなって、父さんは(にわ)づくりが(のこ)っていた。石はさすがにてごわかったよ。でも、やる気とこだわりだけはあるもんだから、(けず)りすぎたり、()けたり、失敗を重ねながら、父さんは休みの日にせっせと(うで)(みが)いた。
 そんなわけで、ベランダの下にはへたくそな灯籠(とうろう)が五つもあった。カズ(にぃ)灯籠(とうろう)足場(あしば)にして、地面(じめん)へとおりたかったらしい。だけど、カズ(にぃ)にはパワーはあっても、運動神経(うんどうしんけい)はよくなかった。あせっていたし、そもそも、スキップもできなかったしな。
 思いきって()()げた足は、手すりに引っかかって、カズ(にぃ)はバランスを(くず)した。横倒(よこだお)しになって、背中(せなか)灯籠(とうろう)の上に()っこちたんだ。
 それでもカズ(にぃ)はちゃんと草太を守りきったんだぜ。大けがだったのに、そう太を(かか)(なお)すと、そのまま走って避難(ひなん)したんだからな。
 背骨(せぼね)(いた)めて車椅子(くるまいす)生活になったり、(はら)が引っこんで別人(べつじん)みたいになっちゃいるが、あれは大福(だいふく)をたらふく食べさせてもらえないからだ。退院(たいいん)して、大福(だいふく)をいっぱいプレゼントしてやれば、ちゃんと元気になるからな。
 次に父さんだ。たぶん、(ねぇ)ちゃんと一緒(いっしょ)に外に避難(ひなん)したんだ。そして近所のピンポンを連打(れんだ)しまくって、火事(かじ)だと(さけ)びまくった。ほんと、えらいよ。
 だが、その後がいけなかった。父さんは家にもどっちまったんだ。(けむり)()かれて、死んじまったんだろう。
 (ねぇ)ちゃんを(さが)しに行った可能性(かのうせい)もあるけど、どうやら位牌(いはい)()りにもどったらしいんだ。
 ただの木の(いた)だけどな。素人(しろうと)が手作りして、ふつうじゃつけない(かざ)りをつけたり、中に指輪(ゆびわ)を入れたしてな。
 きっと、この火事(かじ)でこのままぜんぶ()けちまうことがわかって、()しくなったんだ。母さんのものを、何かひとつでも、そばに()いておきたかったんだろう。
 位牌(いはい)には父さんの名前もあっただろう? 夫婦(ふうふ)場合(ばあい)、どっちかが生きていても、2人の名前を入れることもできるんだ。あの位牌(いはい)は、父さんと母さんの人生そのものだったんだ。
 問題(もんだい)(ねぇ)ちゃんだ。(ねぇ)ちゃんはキッチンで(たお)れてた。父さんを()いかけて家にもどったのかもしれないけど、場所(ばしょ)がへんなんだ。まさか、食いもんを()りにかえったわけではないと思うけど。
 まあ、ものに(かん)しては、ジャイアンみたいなとこはあったし、気分屋(きぶんや)だったな。すぐに()きるくせに、次々(つぎつぎ)(なら)(ごと)を楽しんでた。
 スイミングの体験(たいけん)レッスンではりきって、アキレス(けん)(いた)めるし、フラダンスで調子(ちょうし)()って、(こし)(いた)めるし。
 その日もユーチューブで見たトレーニングダイエットに(はげ)んでから()たんだってさ。(ねぇ)ちゃんはいつも、先生が教える以上(いじょう)のことをしようとして、失敗(しっぱい)するんだ。(ねむ)る前、少し(こし)(いた)そうにしてたらしい。避難(ひなん)途中(とちゅう)で何かを思い出して引きかえしたかもしれないし、外から何かを()りにもどって、ぎっくり(ごし)にでもなったのかもしれない。
 (ねぇ)ちゃんのことだから、作文に書くとしたら、こうだな。
「しくじっちゃった。こんどはサバイバルを(なら)おうかしら。」
 例年(れいねん)よりも乾燥(かんそう)した冬だった。強い風さえなければ、ぜんぜん結果(けっか)(ちが)っただろうな。火事(かじ)原因(げんいん)漏電(ろうでん)で、その火が7(けん)()くなんて、みんなツイてないよな。
 いつもなら、オレも正月(しょうがつ)はみんなと()ごすのに、今年(ことし)はそうしなかった。
 父さんと喧嘩(けんか)しちまってさ。
 オレがいれば、草太を(かか)えたまま、2(かい)から地面(じめん)へときれいに着地(ちゃくち)できたし、そうすればカズ(にぃ)も……いや、たぶん、そう太のもとへ()けつけて、オレが完璧(かんぺき)着地(ちゃくち)をする(よこ)で、灯籠(とうろう)の上に()っこちてたな。
 父さんは部下(ぶか)からの信頼(しんらい)(あつ)くて、人命(じんめい)第一(だいいち)仕事(しごと)をしていた。だけど、大工(だいく)仕事(しごと)みたいに、大好(だいす)きなこととなると、(だれ)にも止められない。最初(さいしょ)は父さんらしく、みんなの避難(ひなん)を考えて動いたんだ。少し冷静(れいせい)になると、やっぱり父さんらしく、大好(だいす)きな母さんのことを思い出すんだ。ほんと、息子(むすこ)の前でも、気持(きも)ちが(わる)いくらいラブラブだったよ。父さんが(ねぇ)ちゃんをひいきするのだって、オレのことを母さんを()りあうライバルだと思ってたからだぜ。
 (ねぇ)ちゃんは回し()以降(いこう)も、かかと落としや(うで)ひしぎ、タックルに二枚蹴(にまいげ)り。いろんな(わざ)をオレで(ため)そうとするんだ。オレが大学生(だいがくせい)になっても、(ねぇ)ちゃんはマジで強かった。
 おかげで(ねぇ)ちゃんは(だれ)よりも(たの)もしかった。詐欺師(さぎし)痴漢(ちかん)を何人も(つか)まえているし、おかしなやつを(だま)らせるのもうまかった。8回も警察(けいさつ)表彰(ひょうしょう)されるなんて、ふつうじゃない。
 だけど父さんと一緒(いっしょ)で、自分(じぶん)のこととなると、どこか()けているんだ。そんなとこばっか()るなんて。馬鹿(ばか)だよな。
(言いたくないところは。()ばしてもいいぞ。)
 しっかり者のカズ(にぃ)結婚(けっこん)してよかったし、草太がいい子になるわけだ。
 寝起(ねお)きで2(かい)から()ちるし、自分(じぶん)の家どころか、あたりは火の海だし。父親は大けがで、助かりそうだったじいちゃんと母親は死んじまうし。(しん)じられないよな、ほんと。
 カズ(にぃ)入院(にゅういん)しているから、オレなんかが喪主(もしゅ)になっちまったせいで、弔辞(ちょうじ)最悪(さいあく)だったよな。いつもなら、感動(かんどう)(てき)なスピーチくらい、チャッチャとでっち()げてやるのに。葬式(そうしき)だろうが関係(かんけい)ないって。葬式(そうしき)だからこそ、爆笑(ばくしょう)エピソードで、(わら)ってはいけない葬式(そうしき)をしかけてやれたのにな。
 カズ(にぃ)の妹、よしのさん、7年しかアメリカにいないのに、アメリカなまりが(わら)っちゃうくらいきつくて、(つた)えたいことがありすぎて、日本語に聞こえなかったな。テッドさんのほうが日本語うまかったぞ。いとこのレオくんはポケカをいっぱいくれたよな。言葉(ことば)(ちが)うのに、一緒(いっしょ)(あそ)べるってすごいよな。
 こういう時はな、ほしいレアカードをリストアップして、(つぎ)法事(ほうじ)でもらえばいいんだ。いつかカリフォルニアのディズニーリゾートに()れて行ってほしい、と言っておくのが大事(だいじ)だぞ。家族(かぞく)だからな。スミソニアン博物(はくぶつ)(かん)でも、NASAでも、どこでもいいぞ。ホワイトハウスで大統領(だいとうりょう)に会いたいと(たの)んどけ。今なら(こと)れないから、面白いことになるぞ。
 カズ(にぃ)のお母さんのヒロミさんが、せっせとピザハットのピザをすすめてくれたよな。わるいな。オレはピザハット派なんだ。前に、草太はピザハットのピザが()きだと()()んだせいだ。そういう時はな、ピザーラが()きだというんだ。そんでもって、冬にぃちゃんはドミノピザが()きだと教えておくんだ。
 カズ(にぃ)の2人のお父さんが、遠慮(えんりょ)がちにおまえを心配(しんぱい)してたよな。玉川じいちゃんがカズ(にぃ)最初(さいしょ)のお父さんで、ミレイさんと再婚(さいこん)しているんだ。すげぇ(わか)いだけあって、素直(すなお)に草太を気づかって、()きしめてくれたよな。Eカップはあったぞ。ありがたく()きつかなくちゃダメだ。
 大人(おとな)になったら、そんなチャンスはあんまりないぞ。
井上じいちゃんは、血はつながっていないけど、草太をすごくかわいがってくれるよな。レオくんとはなかなか会えないし、おまえを引きとって、おじいちゃん(あい)爆発(ばくはつ)させたくてしょうがないって(かん)じだ。ヒイジジィエイチキューもめちゃくちゃ(まご)にあまくてな。父さんが(にが)(かお)してたよ。息子(むすこ)にはめちゃくちゃきびしかったから。
 草太やカズ(にぃ)(のぞ)むなら、井上じいちゃん()に行ってもいい。葬式(そうしき)には来れなかったけど、ミチコひいばあちゃんも草太のことを思っているからな。
 カズ(にぃ)と2人で生活をはじめたっていい。オレはたくさん家をもっているし、ただ、わがままを言わせてもらえば、同じマンションがいい。
 まあ、不労(ふろう)所得(しょとく)だし、いつでも会いに行ける。
(あと少しだ! えらいぞ。がんばれ!)
 いろいろ書いたけど、結局(けっきょく)家族(かぞく)ってよくわかんないよな。
 夫婦(ふうふ)他人(たにん)じゃなくちゃなれないんだぜ。
 オレは小学1年生の時から()っていた、しば犬のダグラスのことも、家族だと思っているし。死んでも思い出はいっぱいあるからな。
 話したくない時は、無理に話さなくたっていいんだ。死んでいるからって、言っちゃいけないってルールもないんだ。自分(じぶん)が話したいなら、話していいんだ。
 話したくなくても、話さなくちゃいけない時、そん時はオレたちを頼ればいい。
 過去の話をしてもいいし、未来の話をしてもいいんだ。いやな部分(ぶぶん)をうまいこと()ける(ほう)(ほう)はいっぱいあるんだ。
 あんまり、かたくるしく考えなくっていいんだぜ。
 オレは思うんだ。
 草太にも(あたら)しい家族ができる時が来る。
 その時、父さんのへったくそな灯籠(とうろう)の話をして、(ねぇ)ちゃんの伝説を披露(ひろう)して、カズ(にぃ)(だい)(ふく)(ばら)自慢(じまん)できたらいいなって。
 かっこいいおじさんの話も(わす)れるなよ。
 カズ(にぃ)誕生日(たんじょうび)と、父さんと(ねぇ)ちゃんの命日(めいにち)が同じだからって、遠慮(えんりょ)することなんかない。そこは(ねぇ)ちゃんみたいに、日にちをずらして、3日にお墓参りに行ったっていいんだ。家族(かぞく)の分まで、ケーキをたくさん食べたっていいんだ。
 オレはよく、勉強(べんきょう)よりスポーツに(いそが)しかった(ねぇ)ちゃんの作文を考えてやっていた。(ねぇ)ちゃんにあまい父さんも一緒(いっしょ)になって、内容(ないよう)を考えていたんだぜ。そんな(ねぇ)ちゃんも、ちゃんと大学(だいがく)入れたしな。
 だから(ねぇ)ちゃんみたいにどうどうとしていればいい。書けないもんは書けない。これから()えていくんだ。
 草太、オレはおまえが大好(だいす)きだ。カズ(にぃ)(ねぇ)ちゃんも、父さんも、母さんだって、会ったことがないのにおまえが大好きだ。
 よしのさんも、テッドさんも、レオくんも、マリちゃんも、ミレイさんも、玉川じいちゃんも、井上じいちゃんも、ヒロミおばあちゃんも、ミチコひいおばあちゃんも、(あき)(ひろ)(おお)叔父(おじ)さんも、ナナエ(おお)叔母(おば)さんも、ヒイジジィエイチキューもダグラスも、クニコひいばあちゃんも、あとオレもよく知らない親戚(しんせき)もいっぱい、そう太の力になってくれるからな。
 すごいだろ。もう心配(しんぱい)いらない。
 また作文に困ったら、家族(かぞく)みんなで、ゴーストライターしてやろうぜ。 
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登場人物紹介

深沢 草太(ふかさわ そうた)

小学二年生。ポケモンカードを集めている。

深沢 和勝(ふかさわ かずまさ)

草太の父親。大福が好物。

深沢 夏奈(ふかさわ なつな)

草太の母親。格闘技を弟で試すのが好き。

深沢 秋正(ふかさわ あきまさ)

草太の祖父。海上保安官。大工に憧れている。

深沢 春子(ふかさわ はるこ)

草太の祖母。料理が好き。

深沢 冬一(ふかさわ ふゆいち)

草太の叔父。不動産をたくさん持っている。

GHQ(あだ名)

草太の曽祖父。高祖父の口癖が「GHQに土地を取られた!」だったことから、友達にGHQというあだ名をつけられる。

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