1 ✿ 武田信玄も「苦手なもの」

エピソード文字数 1,236文字

がおお!

草むらから飛びかかってきたのは、ケモノチームの三将、()(づめ) (とら)だった。


さっと身をかわす萌栄。するとよけた先の茂みがざわざわと揺れ・・・

ここで会ったが百年目ぇ!!
(またまた、めんどくさそーなのが!!)

ケモノチームの副将、()(つめ) (かがり)だ。


2人が同時に、萌栄へ手を伸ばす。

必殺、(たぬき)退()き!!

萌栄はすっと身をかがめる。


小さく丸くなった萌栄に、2人はつまずき、萌栄の真後ろに転がった。

この忙しい時に!! どっから出てきたとや、おまえら!

どっから出てきてもいいやろ!


(ちょう)!!

(えん)!!

炬の呼びかけに、虎が応える。


山月記という物語にちなんだ、(かがり)(とら)の、暗号であった。

(火と虎。いったいどんな技を・・・)
萌栄ちゃん、俺のそばを離れんで

鋼は、萌栄のそばにぴたりとついた。

こらぁ、鋼! 俺との決着がまだついとらんよ!!

おまえは、アリンコでも愛でとけ! 

そうは問屋がおろさんよ!! まだまだ「うちの子」がおるっちゃかい!

(こん)は、ぴょーんっと、牛若丸のような身軽さで、樹の上に上がった。

毛虫球、乱れ打ち!!

萌栄、鋼の4人に、虫の魔球がお見舞いされる。

しっつこいやっちゃな~!!

鋼は呆れながら、萌栄の手を引き、樹や岩の裏に隠れる。


ぎゃああ!

の悲鳴が上がった。


カプセルは虎の肩にぶつかり、芋虫が飛び出して彼の顔や腕にはりついたのだ。

俺の背中で、芋虫が這っとる! うねっとるぅ――!!
おお、でっかいのがおるわぁ。ほれ、とったよ!

(かがり)も虫をくらっており、はりついた芋虫をつまみあげて落としている。


(とら)ほど苦手そうではない。

甲斐(かい)(とら)も、イモ虫苦手だったっけ
甲斐の虎って?

戦国大名、たけしんげんのことよ。


今が、(とら)のスキね。・・・あっ、こんなところに。

昆の「毛虫球」が一つ転がっていた。


カプセルが割れていない。

うげ~・・・カプセルの中で、虫がうねってる! きもっちわるーい。

ピンときた、これ使える!


よーし、私が(とら)を倒すわ。

萌栄は、腕の端末を指差して行った。

(とら)1人ならいいけど、(かがり)も萌栄ちゃんを狙っとるしなぁ・・・


あ、(かがり)のやつ、(こん)と闘い始めた!! でもとらは腰が引け取るな。

(とら)は、やっぱり虫が苦手みたいね。


チャンスだわ、彼を倒すなら今よ!

よっしゃ


俺が、(こん)(かがり)の闘いに混ざって、二人の注意を引いて、(とら)を一人にするよ


とらは萌栄ちゃんに任せた!

OK、ここは効率良く闘うのが一番ね。


――鋼は、(こん)(かがりをお願い。

分かった!


危ないと感じたら、一人で頑張ろうとせんで、必ず俺や発を呼んでね

鋼は腕の端末と、片耳イヤフォンマイクを指差した。


そして、(こん)(かがり)が闘う方へと駆けていく。

さあ、(とら)退治と行きましょうか!

萌栄も、隠れていた場所から飛びだした。

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登場人物紹介

日高萌栄 (ひだか・もえ


中学2年生、13才の少女。

カピバラをこよなく愛する。

重黒木 鋼じゅうくろぎ・はがね


中学2年生、13才の少年。機械いじりが得意。

椎葉 発(しいば はつ)


中学2年生、13才。

萌栄の友達。花火師の孫。

黒木 殿下(くろき でんか)


萌栄のライバル

那須 雨音(なす あまね)


殿下の友達。

黒木 媛(くろき ひめ)


殿下の妹

日高 結芽(ひだか ゆめ)


萌栄のお母さん

日高 地平(ひだか ちへい)


萌栄のお父さん

日高 雲水(ひだか うんすい)


萌栄の祖父

重黒木 功(じゅうくろぎ こう)


鋼のお父さん

重黒木 理玖 (じゅうくろぎ りく)


鋼のお母さん

椎葉 康次(しいば やすじ)


発の祖父。花火師

黒木 智子(くろき ともこ)


殿下、媛のお母さん。

黒木 未夏 (くろき みか)


クラスメイト

中武 陽(なかたけ はる)


クラスメイト

那須 貴也(なす たかや)


クラスメイト

那須 由子(なす ゆうこ)


クラスメイト

お殿様。


西方の里を治める、お殿様。

南朝の忠臣、その子孫。

忠平(ただひら)


お殿様が助けた忍者。

加藤清正に仕えていたが、毒殺の濡れ衣をかけられ、逃げてきた。

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