第2話 盲目の男

文字数 459文字

西日の差し込む4畳程度のキッチン
南西向きなのだろう、
小さなダイニングテーブルの真ん中には、花弁が開ききっている切り花が飾られている
使い込まれたコンロは、綺麗に磨かれ、程よく生活感のあるその場所は、人の温もりを感じる

綺麗なオレンジの光に照らされている一人の男の横顔。白い髭が疎らに生えて、テーブルに飾られた花を見ている?
あぁ、よく見ると、瞳が白濁している

足の間に杖を立てて、両手でそれを持って座っているそのおじいさんは、そうだな、どれくらい待っただろう。
夕日が沈みかけるまで、
呼吸さえ静かに、じっと、多分その時を待っていた。

遠くから、小さい子供の笑い声が聞こえ出すと、
玄関の鍵穴に、鍵を差し込む音が聞こえてきた。
今日はこんなことがあった、みたいなことを一生懸命に話す幼い子に、相槌を打ちながら、その子の母だろうか?きっと小さな靴をぬがせて、2人はリビングへと向かった音が聞こえた。

すると、目の前の老人がすっくと立ち上がり、
音のする方へゆっくりと歩き出した。
その次の瞬間、
母子の叫び声が家中に響き渡る。

窓の外はもう夜だった
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