第5話(8)

エピソード文字数 1,337文字

(…………ふぅー。壁起動ぜよっ!)

 まずは、お馴染み『金硬防壁』を展開。すんごいシールドを作った俺は颯爽と右手を前に伸ばし、白金人間と向かい合った。

「やっと戦えるぜ。王子様、今度はボス様が相手だ」
「魅里ちゃんを傷付ける者は、許さない!! 色紙優星、八つ裂きにする!」

 ぼくの時だけ、台詞が増えとる。こりゃ想像以上に怒ってるな。

「面白れぇ、やってみろよ。まーテメェだと、1秒足らずで終わっちまうんだろうがな」
「魅里ちゃんを傷付ける者は、許さない!! 色紙優星、惨殺する!!

 ぼくは一秒でも早く事情を語り、激しい殺意を向けられないようにしたい。そこでお喋りを止め、決着をつけることにしました。

「弱い犬ほど、よく吠えるってね。いくぜぇ白金人間!」

 最初に実行するのは、『虹の増速』。これを用いて次の行動を10倍にし、俺は終止符を打つべく地面を蹴った!


 ビュン ドゴォォォォォォォ!!


 ……んん? ドゴォォォォォォォ? なんか今の音、おかしくないか?
 多くの方がそんな疑問を抱いていると思いますので、地面を蹴ったあと何が起きたか御説明致しましょう。あの、ですね?


 走ったら、いつの間にか神蔵さんに体当たりしてました。


(…………うわぁ…………。これ、ヤバいぞ……)

 俺は十数メートル飛んだ敵を見つめ、心の中で四つん這いになる。
 マズイマズイマズイ。非常にマズイ……。

(は、速すぎる……。10倍速は速すぎて、目の前で止まれないぞ……!)

 停止するタイミングが、全く掴めなかった。わたしは気が付いたら衝突していて、触る&奥義発動を完遂できません……。
 つまり。つまり、この作戦は絶対に無理ですわ。

「魅里ちゃんを傷付ける者は、許さない!! 色紙優星、血だるま!!

 起き上がった神蔵さんは、やたら禍々しくなった半月型の物体を連射。それは無論マイシールドちゃんが防いでくれるので気にせず、この作戦が無理となった俺は眉を顰める。

(参ったな。倒す方法がないぞ……)
『お前、何言ってるんだ? ひたすら体当たりすりゃいいじゃないか』

 謎の声、お前こそ何を言ってるんだ。そこにいる神蔵さん、ピンピンしてるでしょ。この程度じゃ、白金人間にダメージを与えられないんだよ。

『おお、そういやそうだな。だったら逃げれば――そりゃ愚行だな』

 自分はついさっき、戦いを渇望していた。ここで逃げたらそれこそ弱い疑惑噴出で、優勝しても危険はなくならない。

『しかし優星。攻撃する手はないだろ?』

 うん。その通り。

『だったら、逃げるしかないな。コソッとリタイヤって口にしとけば、不具合等で勝手に転送された、にできるんじゃないか?』

 そうだね。命あっての物種なんで、不具合を利用して離脱しよう。

(もし弱い疑惑が噴出したら、別の方法を考えればいいよね。よし逃げようっ)

 生命第一の俺は、方針を変更。俯いて口元を両手で隠し、脱出するためのワードを発した。

(ん、これでオーケーだな。神蔵さん、バイバイ――ぃぃ!?

 景色、変わらないっ。呪文を唱えても、目の前には白金人間がいる!
 なんなのこれ!?
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登場人物紹介

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

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