第4話

文字数 549文字

 大晦日の夜は真っ暗な中にテレビの楽しそうな笑い声が聞こえて上手く眠ることが出来なかった。何時もだったら、10時には静かにしてくれるのに、この日だけは日向ちゃんも達哉くんも何時までも起きていた。
「初日の出を見るまで起きてるか?」
「えー、徹夜あ?」
 2人はキャッキャウフフと騒いでいる。僕は寝不足で眩暈がした。そのまま、ゆらり、止まり木から落ちる。気が付くと人間の身体をしてネオン眩しい寒いところにいた。
「うー、さむ」
 あれっ、人間の言葉が喋れる。おかしいな。夢でも見てる?僕は手で頬を叩く。
「いてっ」
 何だか変だ。人間に生まれ変わったみたいだ。どうしよう。すると目の前には明るい建物があった。コンビニっていうところみたいだ。中に入って、個室に行くと鏡があった。僕は自分の顔をマジマジと見る。整った彫りの深い顔立ちに、茶髪の頭、これが僕!?こうしては、いられない。日向ちゃんと達哉くんに教えないと。確か、2人の名前は・・・。岡安だ!僕は街を往来している人たちの中に入って辺りを見渡した。一度、動物病院に連れてって貰ったことがあるので多少の地理は分かる。
 目の前に、見た事のあるマンションが建っている。多分、ここだ。えーっと、岡安、岡安。僕は表札を一軒一軒、確認する。あった、ビンゴ!
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