第一話
文字数 963文字
ここは辺境貴族・セファーナ家の領地の一つ。
セファーナ家は領主バイスによって監督されているが、
実際の作業などは五人の息子にそれぞれ行わせており、この領地は次男であるクリフの担当だ。
そんな地に、貴族のものにしてはやや質素な、それでいて手入れはしっかりされた馬車が入る。
乗っているのはクリフの姉、セラ・セファーナ。そして、今回領地の会計調査権限を与えられた、五男のギリアム・セファーナである。
ええ。ワインが有名な土地ね。結構年数たってから出荷するものもあるから、
大きなワイン蔵だとそれだけで領地一月分くらいのお金になるんじゃないかしら。
最近のワインは出来が悪いって言う人もいるから、
そういったビンテージものの価値はもっと上がるかも
当然です。天気は農作物はもちろん、軍事・貿易など領地全体に関わる重要な指標です。
……最悪ここの報告が改ざんされていることも考えてたんですが、
隣接する領地のと突き合わせても問題なさそうなのでそこまで徹底しているわけでもなさそうです