第3話

文字数 501文字

何個目かのかどを曲がると、古ぼけた台座があった。

まるい天板で足がカールしている小さめのテーブル。イギリスのアンティーク家具だろうか。いやイタリアか。まあヨーロッパのどこかだろう。素材はウォルナットかなにかか。

通ぶって、いろいろ考えてみる。しかし考えたところで、わたしはアンティークにも家具にも、まったくあかるくない。よって、これがどのような代物か、わかるわけがなかった。

そしてテーブルの上には、花瓶がおいてある。花瓶には、花が一輪さしてある。

本物の花かとおもったが、どうやら造花のようだ。アンティーク家具同様、わたしは花の種類にもまったくあかるくない。なので、これが一体なんという花を模したものか、もちろんまったくわからない。



しかしこれだけさまよって、みつかったオブジェはこれひとつ。アトラクションとしては、なんともお粗末だ。とはいえランドマークとしては、使えるかもしれない。

そういえば、片方の手を壁におき、壁から手をはなさずにひたすら歩くと、いずれ迷路からぬけだせると聞いたことがある。よし、この花瓶を起点として、ためしてみよう。

わたしは左手を壁につけ、壁づたいにあるきだした。そのとたん、

ガシャン。

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