第4話(7)

エピソード文字数 2,238文字

「よし。作戦を練ろう」
「にゅむっ」「ええ」「承知いたしました」「ラジャーですわ」

 俺、レミア、シズナ、サク、麗平さんは和室にあるテーブルを囲み、頷き合った。

「残された時間はそれなりにあるが、長くはない。こんな時に限って『戦場空間』を乗っ取れそうな雰囲気がないんで、単刀直入に尋ねるよ」

 俺は斜め前の位置にいる、麗平活美さんに黒目を向ける。

「英雄と銀剣を持ったミラルと、俺達がだ。力を合わせて戦ったら、勝算はどのくらいあるの?」
「戦闘の場合だと、0パーですわね。無効化の爆弾を出されたら、英雄クンは一般人とほぼ同じですもの」

 ……まともに戦えるのは弱くなったミラルだけになり、勝ち目はなしか。バトルでは、絶滅確定で――?

「その言い方だと、他に戦い方があるように聞こえるわ。麗平活美さん、別の手があるの?」

 シズナが、俺が抱いていた疑問を口にする。
 戦闘の『場合だと』、0パー。その言い回しは、他にもあるんだよね?

「うん、ありますわ。それでも勝算は1%にも満たないだろうけど、存在はしていますわよ」
「確実負けないなら、それでいいさっ。そいつはどんなやり方なのっ?」
「…………ゲーム。ですわ」

 麗平さんは全員を見回し、ゆっくりと紡いだ。

「2日前に話したけど、ガレは『ゲーム』が大好き。そのため…………敗北したら死という条件をつけてゲームを提案すれば、乗るんですわ」
「なるほど、ね。して、そのゲームはどんなモノでもいいの?」
「戦い以外は一対一を好むから、サシにはなりますが――。チェスでもテレビゲームでも、リフティングでも山手線ゲームでも構いませんわ。ただ……」

 ここで彼女は、ゴクリと唾を嚥下する。

「ガレは自分の持つ能力で、選ばれたゲームが全次元1強い者になれますの。ウチらがそんな存在を打ち破れるとは、思えませんわ」
「…………それを聞いて、腑に落ちたわ。だから貴方達は以前、敢えて戦闘の形式で挑んだのね」

 ゲームはバトルより被害が少ないが、セブンナイツが戦う場合はバトルの方が望みがある。そのため彼らは、武器を振るったんだな。

「そう、なのですわ。……ここにいる四人の中で、全次元1を倒せる特技を持ってる人はいませんわよね?」
「にゅむむぅ。あたしは、ないですー……」
「私も、ないわね。最も得意な『JKP(じぇいけーぴー)』と呼ばれるものでも、あっちの日本で一番なレベルよ」
「わたくしめも、ございません。将棋で奇跡的に大活躍できましたが、それでも近隣の世界で一番どまりでございます」

 本来ならスゴイことだが、今回は意味を持たない。彼女達は――。そう。彼女達は、きっと千回やっても勝てないな。

「にゅむ、ゆーせー君はお目目に力があるっ。すっごい特技を持ってるの?」
「ああ。俺は、実力が勝ち負けに直結しない、勝負が可能な特技を持ってるんだよ」

 既述された『チェス』『テレビゲーム』は、力が勝敗を左右する。けれどコレは、+αが勝敗を左右するんだ。

「従兄くんには、そんなものがあったのねっ。それは一体なんなのっっ?」
「ふふふ。それは、ね」
「「「「それは?」」」」


「お笑い勝負、だよ」


 100人集めて、そのうち何人が大笑いするかで勝ち負けを決める――。こうすれば、全次元1のヤツを倒せるチャンスはある。
 なぜなら、笑いは十人十色だから。人には好きな笑い嫌いな笑いがあり、名実ともにトップクラスの方だってウケない時があるんだ!

「この俺には、あの面白昔話がある。これから本気でネタを作れば、勝利は夢じゃないんだよ!!
「そういえば先月、空霧クンが笑い転げてましたっ。これならいけますわ!」
「色紙様には、そういうセンスもおありだったのですねっ。光明が差しました――」
「にゅむむむっ、それはブブーだよーっ! ゆーせー君は負けちゃいますーっ」
「従兄くん、自殺行為よっ。どうかっ、どうか止めてください!」

 麗平さんとサクが、拍手をしていたらだ。レミアとシズナが両腕をクロスさせ、大きく×印を作った。
 あ~、そうだそうだ。この二人は高度な笑いを理解できてなくて、優星の実力を見誤ってるんだったね。

「レミア、シズナ、安心しなさい。爆笑の渦に包み込んでやるよ」
「現に空霧クンが窒息死しかけてたから、無茶ではありませんわね。ウチもこの案を推しますわ」
「差し出がましいのですが、わたくしめも賛同させて頂きます。拙い脳で計算した結果なのですけど、お笑い勝負が賢明でございますよ」

 うんうん、そうだよね。そりゃあ滅亡か否かが決まる勝負っぽくはないが、最も勝ち目があるんだもん。やるっきゃないでしょ。

(…………サクさん達は、あれを知らないから言えるのよ…………)
(…………すっごく、個性的(こせーてき)だよねー…………。シズナちゃん、どーやって中止にしよっか……?)
(……………………仕方が、ないわね。実際に聞いて貰うしかないわ)

 変人とにゅむ星人がコソコソ話をして、そのあとシズナが俺に話を振ってきた。

「私、どうしても不安になっちゃうの。だからもう一度実力を知りたくて、一つ披露してくれないかしら?」
「おう、そりゃお安い御用です。じゃあやるよ?」

 ネタを作るとなると多くの時間を要するので、既存の作品でスタート。スクッと立ち上がり、大きく息を吸って吐いた。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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