詩小説『夜景』3分の光と町。ドライブする前に。

エピソード文字数 733文字

夜景

曇ったガラスの向こう側で、助手席の君を映し出す。
坂道を登るにつれて、町明かりは小さくなっていく。そして広がっていく。

信号待ちの交差点。ドアにもたれ外にある景色見てた君。
言葉は要らなかった。着いてくれるなと願った。

寒空の夜では澄み切った点滅する光。
車体に白く光る氷の粒を君の指先が擦る。

白い息を零した君。思ってた以上に冷たい手。
曇った窓ガラス撫でて、丸い穴を開けた君。

曲がりくねった坂道、登りきった。
そして、僕等は言葉を失った。
僕等の町は幾つもの灯りを灯していた。
綺麗なんて言葉出て来ないくらい。

コートに顔を埋めた君。次第に赤くなっていく鼻。
小さな午後ティ分け合った。今も残る甘い香り。

こんな気持ちなんて言おう。震えたのちに込み上げる。
広がる灯りと同じように、未来が輝いて見えた。

カーラジオが拾った曲を、君はどんな気持ちで聴いてだろう?
僕等のために作られた曲だと、本気でそう思った。

夜の匂いが舞い込んだ。冷たい風は頬を撫でる。
厚いコートの奥に潜む、心に手を伸ばす心。

吸い込まれた、群れる光。
そして、熱くなった心。
この光の数だけきっと町には物語がある。
そして、ここでひとつ僕等も灯りを作る。

曲がりくねった坂道、登りきった。
そして、僕等は言葉を失った。
僕等の町は幾つもの灯りを灯していた。
綺麗なんて言葉出て来ないくらい。

忘れはしない君が打ち明けた想い出話。
はぐれはしない僕が打ち上げた希望、光にして。

近づき過ぎてしまった君に尚、届かない光。
知りたい、知りたい、傷つくとしても。

掴めない光。

消えていく光。

そして、知ってしまった。

はぐれた光。

胸に今も溢れる夜景。
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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