第2話(4)

エピソード文字数 1,937文字

「狙ってはこないと思ってたけど、ついに来ましたか……。仲間、いや、利用するヤツがいるんですのね……!」
「れ、麗平さん? アナタは何を――」
「「「なっ、なぜ女が居る!? おなごを運んだ覚えはないぞ!?」」」

 珍妙な雪ダルマ軍団が、一様に狼狽する。
 ぇ、ぇぇ? 第2弾。コイツらが、ラミラミを運んだんじゃないのかよ。

『優星、てことはだ。この子は力があることになるから、セブンナイツってのは本当じゃないのか?』

 ああ、そうだね謎の声。必然的にそうなってしまう。
 だが彼女は今し方、『力のないキミは』と口にした。究極奥義は英雄クラスでも感知できるんだから、力がある者なら気付くよなぁ?

『それもそうで、やっぱセブンナイツではないな。うんセブンナイツじゃない。セブンナイツは、妄想が生んだ役職。セブンナイツなんて存在しない――』

 んん? あれ?
 どうして、これが思い浮かばなかったんだ?

『? どうした? なんなんだ?』

 あの子ってさ。俺みたいに、感知できないタイプなんじゃないか?
 自分は元々平凡地球人だから、英雄の力があってもシズナ達の気配すら感じ取れない。よって、それは無きにしも非ずだ。

『しかしそれなら、敵の方は感知できるんで仰天しないだろ。あっちはお前の力を辿れてるから、その子にも気が付くはずだぞ?』

 もしラミラミの力が魔王使いのように、『素質系の力』系統だったら認識できない。あれは、力がある、にカウントされないからな。

『あ~、なるほどね。言われてみたらそうだわ』

 だしょ?

『…………俺は知的さが売りなのに、抜かりまくってたな。てかさっきはなぜ、あんなにもしつこく「セブンナイツ」を否定したんだ?』

 知らんがな。これからやるべきことが沢山あるんで、沈思黙考してなさい。
 というワケで、謎の声との会話は終わりだ。

「麗平さん。ちょいと話を聞いてね」

 自力で正体を察知できないなら、説明するしかない。そこで俺は、今度は彼女との会話を始める。

「自分も実は、バッチリそっち側の人間でね。アイツらの狙いはアナタではなく、色紙優星なんだよ」
「っっ、なんですって!? キミは何を持っていますのっ!?
「全次元最強の者の最強の奥義を、四つ持ってるんだ。ヤツらは俺の心臓を食って、その能力を奪おうとしてるんだよっ」
「っっっっ、こんなところに化け物がいますわ!? 何なんですのキミは!?

 1年C組に属する、色紙優星十六歳。生魚が苦手で帽子パンが大好きな、高知生まれの高校生です。

「なっ、何がどうなればそんなになりますの!? まさか、全次元最強の魔王などを倒してますのっ!?
「その詳細は後で話すっ。それより戦闘態勢を取ってくれ!」

 俺は『金硬防壁』を展開し、横に言霊を飛ばす。
 プリースト神のバリアーの対象は、力なき者。残念ながらこの人には力があるので、にゅむ星人達が来るまで自衛しないと怪我をするんだ。

「腕に自信があるなら、戦ってくれても構わない。どうするっ?」
「……今のウチは力の大半を失っていて、凡人と大差ないんですの。実を言うと、攻める術も守る術もないのですわ……っ」

 彼女は唇を噛み、拳を震わせる。
 この子は現在、優星以下ってワケか。こりゃ、俺がしっかり守ってあげないといけないな――

「『アンラッキー・ウォーター』!」「『金刃突出(きんはとつしゅつ)っ』」

 ――黒い水に当たった雪ダルマはぺちゃんこに潰れ、馬と魚の珍獣は地面から突き出た刃で串刺し。


 敵は、一瞬にして全滅しました。


「お~。レミアにシズナ、ご苦労様です。今回は到着が遅かったけど、何かあったの?」
「芸能事務所の方に、スカウトされてね。あまりにしつこくて撒いてたら、結構離れてしまっていたのよ」
「にゅむむぅ。ごめんねゆーせー君」
「いやいや、そういう事情ならしょうがないさ。キミらのせいじゃないよ」

 この二人、見掛けだけは、100点満点だもんな。いずれ、しつこく勧誘されるだろうとは思ってたんだよね。

「って呑気に思い返してる場合じゃなかったっ。シズナ、魔法で『戦場空間』を乗っ取ってくださいな」

 このタイミングで空間が解けたら、レミア達が――不審者が花壇にいることになる。もし警戒を強められたら屋上待機ができなくなるかもなので、こうしておくべきなのだ。

「了解しました。……はい、完了よ」
「いつもどもっス。じゃあ落ち着ける環境になったんで、麗平さんに全てを明かしますか」

 詳細は後で、と約束しましたからね。ビックリ仰天している彼女に、俺らの関係等を細説するでござる。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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