甘美な迷走

文字数 392文字

 ぼくは恐怖に卒倒してしまったらしい。
 目を開けると、きれいな女の子がぼくの顔をのぞきこんでいた。そしてぼくは裸で、彼女の豊満な乳房がぼくの胸にやさしく届いて心地よく、そこは撮影場所に借りていたホテルの一室で、彼女の片手はぼくのペニスをストロークしていた。
 いつのまにかぼくは動画撮影されていたのだし、意識喪失しながらも完全な勃起を果たしていたらしい。
「と、とめて。手、とめて。いっちゃう」
「逝くの? だめよ、がまんして」
「き、きす、キスして」
「だーめ」
 彼女はストロークの幅をひろげ、その速度を上げた。
 ぼくは目を閉じた。まぶたの間に涙がにじんだ。いきたくない。ひどいよ。こんな素敵なことが一瞬でおわってしまうなんて。
 たえられない、そう思ったとき、ほんとうに僅差で、もう少しのところで、彼女の手の動きは切断された。
 彼女はうめき声をあげた。だれかが、彼女にうしろから挿入したのだ。
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