出逢い、

文字数 310文字

それは四月のクラス替えだったような、
或いは六月の日の下校中だったような。

まぁ、四月でいいか。
目が合ったあの日に、始まったのだろう。


一通りクラスメイトや先生の自己紹介が終わった後、
「お、君が後ろの席とは...!」
にぱ、と花が咲くような笑顔で話しかけてきた彼女。
「君、神奈川から引っ越してきたんでしょ?」
「うん、そうだけど...」
「改めて、ボクは和泉 日向っていうんだ」
よろしくね、と差し出された手に、自然と自分の手を重ねる。
「うん、よろしくね」
握手した手は女子らしい可憐な手だったことを覚えている。


多分、ここで、出逢ったんだろう。
否、出逢わなければ、良かったのだろう。

今日の、七月の、
憎らしく晴れたこの日に、なるのならば。
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