2-6 あの娘にリベンジ

文字数 1,155文字

 次の日──
 ブツは揃ったぜ
 全員分のプリントの束を蕾生(らいお)の目の前でビラビラとさせながら、少し低めの声で(はるか)は自慢げに言った。
 そうか、ご苦労さん
 ──ノリが悪いな!
 ?
 まあいいや、漫才がしたいわけじゃないし


 昨日の打ち合わせ覚えてる?

 ええと、まずそれ持って話しかける、


 お前がポケットから銀騎研究所のパンフレットを落とす、


 研究所の話で盛り上がる、


 家に招待される──大丈夫か、これ?

 大丈夫も何も、下手な小細工せずに真っ向勝負だって言ったのライくんでしょ
 まあ、そうだけど
 僕の調べでは、銀騎(しらき)星弥(せいや)はいい人過ぎて頼まれたら断れない性格なんだ


 多少強引でもやるしかない!


 大丈夫、覚悟は決めたから昨日みたいな下手は打たないよ

 わかった

 がんばれ

 そこは頑張ろうでしょ!
 二人は隣のクラスの入口付近で控えめに中をうかがった。
 いるかな?
 ん──、あ
 (ただ)くん、周防(すおう)くん


 集めてくれたの?

 ごめんね、遅くなって
 ううん、全然

 ありがとう

 じゃあ、これよろしく……
 (はるか)は紙の束を彼女に渡そうとしつつ、その一番下に潜ませていた用紙を床に落とした。
 あ、ちょっとまって、1枚落ち──?
 あ、ごめん、違うのが混ざってた!
 これ、うちの研究所のパンフレットだね
 そうそうそう!

 この前、見学会に僕達行ったんだ

 そうなの?


 二人とも、こういうのに興味あるんだ

 そりゃあ、あの銀騎(しらき)博士の研究だもん!


 僕達UMAファンからしたらスーパースターだよ、ねえ、ライくん?

 あ、ああ……
 (ただ)くんも好きなの?


 その……未確認生物、みたいの

 ま、まあ、少し……?
 そうなんだ、若いのに珍しいね


 お祖父様が脚光を浴びた頃ってわたし達まだ生まれてないのに

 だからさ、この前の見学会はすごくためになったよ


 詮充郎(せんじゅうろう)博士だけじゃなくて、皓矢(こうや)博士にも会えたし!

 兄さん、緊張しいだから頼りなく見えたんじゃない?
 そんな事なかったよ!


 皓矢(こうや)博士のキメラ細胞の研究、医療への実用化に向けて着々と進んでるって聞いて、夢みたいな話だなあって思ったんだよね!

 うん……、最近はそれでずっと研究室にこもっててあんまり会えないの
 キクレー因子、だっけ?


 特殊なDNAで、それを解明すると生物学の根幹が変わるかもしれないんでしょ?

 すごいね、そんな専門用語まで知ってるなんて
 そりゃあ、両博士の論文は全部読んだから
 そうなんだ


 論文て全部英語なのに、ますますすごいね

 僕は銀騎(しらき)両博士の大ファンだからね!
 あの……もしよかったらなんだけど
 うん
 周防(すおう)くんがお祖父様の研究で知ってることを教えて欲しい子がいるんだけど……
 ──うん?
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登場人物紹介

唯 蕾生(ただ らいお)


15歳。男子高校生

怪力なのが悩みの種

九百年前の武将、英治親の郎党・雷郷の転生した姿


周防 永(すおう はるか)


15歳。男子高校生

蕾生の幼馴染

九百年前の武将・英治親の転生した姿


御堂 鈴心(みどう すずね)


13歳。銀騎家に居候している少女

英治親の郎党・リンの転生した姿

永と蕾生には非協力

銀騎 星弥(しらき せいや)


16歳。高校一年生

銀騎詮充郎の孫で、銀騎皓矢の妹

鈴心を実の妹のように可愛がっている

永と蕾生に協力して鈴心を仲間に入れようとする


銀騎 皓矢(しらき こうや)


28歳。銀騎研究所副所長

詮充郎の孫

銀騎 詮充郎(しらき せんじゅうろう)


74歳。銀騎研究所所長

およそ30年前、長らく未確認生物と思われていたツチノコを発見、その生態を研究し、新種生物として登録することに成功した


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