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エピソード文字数 611文字

「俺の名は本当に織田信也なのか。お前の名は斎藤……」

「あたしは斎藤紗紅」

「……さく」

 あたしの名前を聞き、信也が苦痛に顔を歪め頭を両手で押さえた。顔は覚えているのに、名前は忘れてしまったのかな。

 記憶障害は一時的なもの。
 医師は、記憶はすぐに回復すると言っていた。

「信也、もう休んだ方がいいよ」

 信也はベッドで横になる。

 看護師が点滴の準備をし、再び病室に戻ってきた。信也の腕に針を刺そうとすると、突然飛び起き身構えた。

「……織田さん、どうされたのですか?動かないで下さい。点滴すれば体力も回復し、じきに退院出来ますからね」

「……退院」

「先ほど勤務先の社長さんと連絡がつきましたよ。もう安心ですね」

「勤務先の社長……」

 看護師が腕に点滴を刺し、「点滴が終わったらブザー押して下さいね」と言い残し退室した。

 信也は看護師が退室すると、すぐに注射針を引き抜く。周囲に点滴が飛び散った。

「信也、何してんだよ!」

「毒を盛られては困るからな。俺は命を狙われている」

「やだ。これは毒なんかじゃない。雷竜会の2人もあの事故で死んだ。あざみも月華も死んだ……。もう誰もあたし達に危害を加えるものはいない」

 信也はあの乱闘事件がトラウマになっているんだ。
 
 未だに、誰かに命を狙われていると思っている。

「紗紅、俺はどうすればこの夢から目覚めることができるのだ」
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登場人物紹介

斎藤紗紅(さいとうさく)16歳

レディース『黒紅連合』総長

 斎藤美濃(さいとうみの)17歳

紗紅の姉、家族想いの優等生

 織田信也(おだしんや)20歳

紗紅の交際相手

元暴走族

 織田信長(おだのぶなが)

戦国武将

明智光秀(あけちみつひで)

戦国武将

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